探偵一筋で生きてきた、福岡の探偵のブログ

他人を探ることを日常としている私ですが、100パーセント仕事と割り切っていて、個人的には、他人の秘密や裏側にはそれほど関心はありません。

しかし、一般人にとって、いきなり垣間見える他人の生々しいプライベートは、とても刺激的な『コンテンツ』だったようです。

今回は、ラブホテルのエロボイスを男二人で聞いた話です。

 

プライベートでの探偵

私にも一応友人や学生時代の同期が居ます。

探偵になるため、地元福岡の大学で法律を専攻したのですが、そのときの同期には、法律関係の仕事に就いた者が何人か居て、それもあってか、探偵の仕事に興味を持たれることも多かったです。

福岡で探偵を開業したばかりのころは、普段何をしているか、どういう依頼が来るかを、よく聞かれたものでした。

(守秘義務であまり話せませんでしたが)

ただ、ピッキングの実演と、盗聴器(発見・回収したもの)の実物品は、おおいにウケました。

ピッキングは、ストーカーや空き巣対策のために研究したものです。しかし、南京錠くらいなら五秒ほどで解錠できてしまうため、それを見た友人たちからは「探偵コエー」とドン引きされたのを覚えています。

(他人の鍵をピッキングすることは犯罪です。絶対にやってはいけません。ツールを所持するだけで違法です。私もツールを処分したのでもう二度とできません)

 

探偵、福岡から名古屋へ行く

あるとき、名古屋に行く出張調査が入りました。現地には、福岡から移住した大学の同期が居て、行政書士を開業していました。調査にメドがついたあと、私たちは久しぶりに会いました。

その依頼で使った『盗聴発見機』が手元にあったのですが、それを聞いた友人から、

「盗聴発見をぜひ実地で見学してみたい」と強く頼まれました。

そこで、いきなりの盗聴電波検索の実演となったのです。

私たちは彼の車で夜の街にくり出しました。

名古屋は車社会ということもあってか、ラブホテルが郊外に点在しています。福岡の盗聴発見と違い、土地勘はありませんでしたが、その友人が運転してくれたので、気分的には知らない街の夜のドライブでした。

 

いきなりのラブホテル盗聴電波

盗聴発見機のサーチをオンにし、のんびり夜の街を走り、目についたラブホテルのそばを通過します。

まあ、テレビの盗聴発見番組なんかとは違い、実際に仕掛けられているケースなんて、ほとんどアリマセ……

突然、ダッシュボードの上の受信機から出る雑音に、男の低い声が混じりました。

明らかにテレビやラジオと異なる、臨場感のある音です。

それからすぐに若い女性の甲高い声。

なんてこった。本当に仕掛けられてやがった。

友人がいきなりブレーキをかけ、私はがくんと前につんのめりました。

なんだなんだと友人を見ると、ひどく真剣な顔で固まっています。

車は道路の真ん中に停止していました。そのままで居るわけにもいきませんから、車を路肩に寄せるよう指示しました。

その間にも、どこぞのラブホテルに仕掛けられた盗聴器は、会話を続々と送ってきます。どうやら会社の上司と部下らしく、実に生々しい会話がなされました。

 

生々しい男女のエロ会話

若い女性社員は、同じ職場の年上の女性社員がたいそう気に食わないらしく、散々グチったあと、「アイツなんとかしてよー」などと男に話しています。

部長とやらは、緩みきった声で「わかったわかった。俺がてきとうにイジメとくから」と名古屋弁でお返事。

若い女性が「やったー。◯◯さんスキー」などと言って、抱きつく音が聞こえました。ふと会話が途切れ、それからはペチャペチャと何やらイヤな効果音が聞こえてきます。

さて。どうしよう。

横目で友人をうかがうと、両手でハンドルを強く握りしめ、うつむき、自分のフトモモあたりをじっと見つめてうなっています。

「フー。フー。フー」

鼻息は異常に荒く、暗がりの中でも顔は真っ赤で、まるで呼吸困難です。

受信機から聞こえてくる男女のあえぎより、そっちのほうに私はのけぞりました。

ちなみに、こんな風に誰かが仕掛けた盗聴器の音を受信して聞くことは、百パーセント違法ではありません。音を傍受するだけなら合法なのです。

とはいえ、仕事でもないのに他人のプライベートを聞くことに、私は気苦しさと抵抗を感じました。

ラブホテルでの二人はますますエキサイトしてきたらしく、とてもここには書けないようなイヤらしい会話を始めています。どうやら、お楽しみの際は口数が多いタイプのようです。

 

気まずい時間。そして・・。

私もプロの探偵ですから、仕事中であれば、そんな音を聞いても心はさざなみのように平然としています。

ですが、学生時代をともに過ごした堅物の友人の車の助手席に座り、鼻血を吹き出しそうなほど興奮し、そんな男と二人きりにされ、狭い車内で他人の秘事を聞くのは、正直言って、地獄のようなシチュエーションでした。

しかも行政書士の友人はずっと無言なのです。

初めて女のハダカを見る男と二人、AV鑑賞でもしているかのごとき、気まずい空気でした。

 

離脱

私は手を伸ばし、そっと受信機の電源をオフにしました。

友人が、虚ろな顔で、ゆっくりこっちを見ました。

暗くてよく見えませんが、きっと血走った目をしていたことでしょう。

「違法じゃないが、プライバシーの侵害だし、ここまで」

私はそう言って、呆けてしまっている友人を無理やりうながして、その場から去りました。

テレビの盗聴バスターではありませんから、ホテルには通報せず、警察にも届けませんでした。

実際に街を流して電波を検索しても、ライブの盗聴器とぶつかる可能性は、本来とても低いのです。しかし、この夜はなんの因果かたまたまそんな機会にめぐり合いました。

帰り友人はほとんど口をききませんでした。

「ああいうのはなかなか珍しい。運がよかったな。面白かった?」

私はたずねましたが、返事はありませんでした。

 

その後のてん末

さて、この話のオチです。

この出来事がよっぽど衝撃的だったのでしょう。その後、行政書士の友人は、自分で盗聴検査機を買い込み、夜の街を徘徊する立派な『電波受信マニア』になってしまいました。

私には、「車で流して野良の電波を拾うだけ」と釈明していましたが、自分でも盗聴器を仕掛ける盗聴マニアにまでなってしまったのか、その真偽は不明です。

行政書士という職業が職業ですから、まさかそんなことはない……と信じたいものですが。

しかし、根が真面目な一般人ほど、他人の秘密に対する好奇心や興味が強いのかも、ということをしみじみ感じさせられた一件でした。

 

もり探偵事務所は、尾行・証拠撮影を得意とする福岡の私立探偵です。