福岡の探偵から見た世界4

直接福岡の探偵業には関係がないニュースではありますが、気になったニュースや世界の時事について、思ったことを記していこうと思います。

140兆円のリンゴ

この記事を書いている時点で、米国アップル社の時価総額は『1兆3000億ドル』。日本円にすると、『140兆円超』という空前絶後の数字です。

これがどのくらいすごいか。

日本一の企業『トヨタ』の時価総額が『25兆円』ですから、ざっと5倍以上です。個人的にトヨタはそれほど好きではありませんが(ただの判官びいきです)、同社が必死で日本を支えているのはまぎれもない事実。

世界時価総額ランキングで、アップルは2位(1位はほとんど公営のサウジアラビアの石油会社)、トヨタはなんと41位で、かつて世界に誇った日本経済も目を覆いたくなる凋落ぶりです。

少し前まで、さすがのアメリカ経済界でも1兆ドル超えの企業はなく、どこが最初にその未到達の頂きに達するかが、注目されていました。

Amazonか、Googleか、Facebookか。

Amazonが第一候補とみなされていたようですが、その先頭集団から頭ひとつ抜けたのはアップルだったわけです。伝説的な創始者『スティーブ・ジョブズ』が亡くなってからのさらなる躍進。意外といえば意外でした。

 

国家より強い企業

140兆円といえば、ヘタな中小国家の予算よりも多い数字です。

イギリスやイタリアの国家予算はそれぞれ約110兆と106兆。名目GDPでいうなら、アップルはメキシコやオランダやスイスよりも規模の大きい数字をもっているのです。

高級スマホ屋さんにそれだけの価値があるのかはともかく、すさまじいブランド力であることは間違いありません。まさに、国家より強いグローバル企業なわけです。

いくらアメリカが自由競争の国でも、一企業が国家よりも強い力を持っていいものでしょうか。

ましてや、GAFAと呼ばれるテック企業の四強は、うまくルールの盲点をつき、様々な抜け道を使って、税金を納めないことで有名です。それが、これら企業の躍進の理由のひとつでした。

普通、国は、ひとつの企業が強くなりすぎないよう目を光らせています。『独占禁止法』はその代表です。

しかし、話によると、アメリカ政府はアップル(およびその他のテック企業)に対し、かなりの優遇措置をとっているそうです。

米国としても、グローバルな世の中で、自国のテック企業が強大な力を持つことは、結果的には国益につながると判断したのでしょう。

 

iPhoneと銃乱射事件

さて、そんなアップル社ですが、国と真っ向から対立する事件がありました。

2015年12月カリフォルニアで起きた『サンバーナーディノ銃乱射事件』です。

詳細は省きますが、14名死亡17名重軽傷というこの凶悪事件で、FBIは射殺した犯人のスマホを押収しました。

ただの個人的犯行ではなく、組織的な背景があったため(使われた銃AR−15ライフルは、フルオートに違法改造されていました)、すぐにそのiPhoneの解析に着手しました。

しかし、強力なロックに阻まれ、データを解析することができません。FBIは正式な令状を取ったうえで、アップル社に協力を求めます。

アップル社の返答は「No」

いかなる理由があっても、個人のプライベートたるスマホのロック解除はやらない、という毅然とした姿勢でした。

 

固いアップル信者

当然のことながら、アップルのこの対応は賛否両論の激しい議論を巻き起こしました。

あるひとびとにとっては、アップルのこの、国家権力にすら敢然と立ち向かう消費者保護の姿勢は、諸手を挙げて賞賛されました。

アップルブランドの屋台骨を支える、信者とも称される、世界中のハイセンスなアップルファンたち。

カフェの目立つ場所に座り、シルバーのノーパソを誇らしげに開いているようなオッサレーなひとびとです。

固く、揺るぎがないことは、ブランドをかたちづくる第一条件です。誰が見てもそれとわかるシンプルなロゴ。頑丈な造り。長い歴史。どこのどんな場所でも認知される知名度。そして、相手を選ばない、ニュートラルな姿勢。

美しい者が履いてもみにくい者が履いてもエルメスはエルメス。善人が持とうが悪人が持とうがグッチはグッチ。

そして、アップルにとっては、iPhoneを持つものは、テロリストであっても自社の大切な顧客というわけです。

 

ロス効果すら跳ね返す威光

この事件により、iPhone及びアップルは、ますますブランド力を高めたかもしれません。

ひょっとしたら、世に居る悪人たちは、「iPhoneを持てば国家の捜査力からも逃れられる」という幻想を強めたかもしれません。

その真偽は不明ですが、「テロリストが使っていたiPhone」というネガティブイメージより、「FBIに屈しなかったiPhone」というポジティブイメージのほうが強まった可能性もあります。

アップルがかもし出すクールなイメージは、なんとなく、持つひとを「高潔でカッコよく見せる(気にさせる)」魔力があるように思えるからです。

iPhoneには、間違いなく、『ハロー効果』が作用しています。

(ハロー効果については、以前ここで記しました。【ジャイアン効果と不祥事の話】)

その理論からいくと、この一連の騒ぎは『ロス効果』として、iPhoneひいてはアップルのブランドイメージを低下させてもおかしくない話でした。(「テロリストに加担して捜査を妨げるなんて!」 )

しかし、アップルのもつ神秘の光は、そんなロス効果をも跳ね返し、むしろゲイン効果として、ブランド価値をより高めたとも思えます。(「アップルはiPhoneのオーナーを守ります。たとえ相手が連邦捜査官とても! 」)

 

美しい黄金のリンゴ

スティーブ・ジョブズは、野暮ったいコンピュータの世界にエレガントをもたらした人物とされています。

強固な強さを秘めた『美しさ』こそ、もっとも強力なブランドなのかもしれません。

そういえば、最近知ったのですが、アップルのあの有名なリンゴのマーク。あれは、美しさの根源とされる『黄金比率』を用いてデザインされているそうです。

 

口の固さが求められる探偵

我々探偵もまた、消費者(依頼人様)の利益と秘密を守るための『守秘義務』があります。

探偵には、きぜんとした態度と口の堅さが求められるのです。しかし、さすがに捜査令状をもった警察から情報の開示を迫られたら、「守秘義務があるので調査に関することは話せない」というわけにはいきません。

アップルこそまさに、「国家権力より固いリンゴ」と言えるでしょう。

 

尾行・証拠撮影を得意とするもり探偵事務所は、福岡の私立探偵です。