ある日の覚せい剤検査

プロ野球の清原元選手が覚せい剤で逮捕されたのはインパクトある事件でした。

そんなわけで、今回は私が警察署に連行されて「覚せい剤検査」をさせられた時の話です。清原選手もアレと同じことしたんだなと思うと、不思議な気分でした。

もちろん、私のほうは100%濡れ衣です。

クスリどころか私はタバコも一切吸いません。酒もほとんど飲みません。レッドブルすら飲みません。

なぜそんな私が覚せい剤検査なんてさせられたのか。「探偵だから」です。

 

ある日の現場

「その現場」は最初から嫌な気配がしました。今思えば、探偵としての本能が警報を発していたのでしょう。

見晴らしのいい田んぼの中にある古い住宅地でした。現場に到着し、調査に着手してまもなく、パトカーがやってきました。

その動きは、ただのパトロールではなく、誰かを探しているようでした。

探偵が不審者通報されることはよくあること……というほどではありませんが、場所や状況によってはまったくないことでもありません。

しかし、一ヶ月張り込んで警戒されまくっている現場ならともかく、そのときは調査初日でまだ一時間も経過していません。不審者通報されるにはあまりにも早すぎます。

明らかに変でしたが、しかし現場から離れるわけにはいきませんでした。

「その日、必ず調査を実施して欲しい」と依頼人から要請を受けていたからです。

 

難しい現場

そこは難しい立地の現場でした。佐賀県のとある地方部です。田んぼばかりで歩いている人間はものすごく目につくのに、建物自体は狭い場所に密集していて、遠くからではよく見えません。

対象者の行動を監視・把握するためには、住宅地の中の限られた場所に張り込むしかなく、そこを離れると調査は不可能でした。

動くわけにはいかないのに、パトカーはウロウロとパトロールしています。

仕方なく、私は数人で見回りする警察官から身を隠し、うまくやり過ごしました。

そうしているうちに、対象者が動き始め、私はその追跡をしました。困難な状況でしたが、結果としてその日の調査はなんとか成功で終わりました。

その日の夜、私は依頼人に状況を伝え、その翌日に予定されていた次の調査の延期を提案しました。

当分は現場に近づくべきではない。それが私の判断でした。

 

強行した調査。その結果。

しかし、依頼人はどうしてもすぐに調査を実施して欲しいと強く希望しました。裁判の日までもう間がなく、早急に少しでも多くの証拠を確保する必要があったのです。

初日の調査で十分な成果を出せば、それ以上の調査は必要なくなる……という算段でしたが、上手くいったことで結果として余計に調査への意欲が増したようでした。

次もやればもっと証拠が集まって裁判に有利になる。依頼人がそう考えたのも無理からぬことです。

こうして調査を強行した翌日。

現場に着くなり、そこら中に私服警官が潜んでいることに気が付きました。

不可抗力とはいえ、昨日私がうまく逃げたことで、どうやら警察を本気にさせたようです。状況は昨日よりさらに悪化していました。もはや調査続行など不可能です。

私はすぐに、別の場所で待機していたスタッフに連絡しました。

そのまま現場で騒ぎを起こすと、調査対象者やその近隣の住人に顔を覚えられてしまいます。

私は、慎重かつ速やかにその場を離れました。そして、すぐに依頼人に電話をかけました。

「私服警官があちこちに居て、今日の調査は不可能です」

「私が無理強いしたせいですね…」さすがに依頼人は心配してくれました。

大丈夫です。なんとかします、と告げて電話を切りました。

 

そして任意同行

とはいえ、私自身なぜここまでやられるのか状況が理解出来ませんでした。

状況を把握するためにも、警察と直接話をする必要があると判断しました。

現場から300メートルほど離れ、対象者の視界に入らない路上で待っていると、パトカーが嬉しそうに二台走ってきました。私を囲むように停車します。

即、職質です。

私は自分が公安委員会に届け出を出した正規の探偵であること、調査の為に張り込んでいたことを素直に伝えました。

しかし、警察官は、

「あんた昨日逃げただろ」

そればかりを強調してきます。

「なんで昨日のうちに探偵だって名乗らないの?」

「調査対象者がちょうど出てくる頃合いだったので、追跡する為です」

「でも、探偵だってワタシらに言えばいいじゃない」

「お巡りさんと話しているところを対象者や近所の人たちに見られたら、調査どころじゃなくなります」

「ちょっと離れて話すとか」

「現場から目を離すと調査が失敗する恐れがありました」

「でも、逃げちゃいかんでしょ」

平行線です。

国家権力と組織の強力なバックアップで仕事をしているオマワリさんには、探偵の地道な調査のデリケートさはうまく伝わらないようでした。

私とて、日夜市民のために身を粉にする警察には敬意を払っています。市民として協力的な態度でいたいとも思います。

しかし私はイチ市民である前に探偵です。依頼人の利益を第一に考えなければならないのです。

その日が依頼人にとって限られた調査のチャンスであるならば、簡単に現場を放棄することは出来ません。

「とにかく署まで来て」

こうして私は、任意的に連行されることになりました。

 

その②へ続く

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