車学でしか乗らないセダン

浮気調査しているときに耳に入ってきた『車学』

自動車学校のことを今の若いひとは『車学』と言うらしいですね。コンビニで耳にしました。

いつもの福岡での浮気調査。コンビニで100円コーヒーを買い、サーバーの前で出来あがるのを待っているだけなのに、ふと周囲の声を鋭敏に拾ってしまうのは、間違いなく職業病です。

今年度高校卒業らしいそのわっかーい女の子たちは、「家のすぐ近くの自動車学校が『マジガチヤバイ車学』ということで、合宿免許に行きたいけどお金がなーいバイトしなくちゃー」というような感じのことを、声高に話していました。別に盗み聞きしてたわけではありませんよ。

それにしても合宿免許。なんとなく青春の響きですね。

コーヒーを飲みながら自動車学校のことを少し思い返していたんですが(当然私も某mymy車学の卒業生です)、実技講習で乗る車が、今ではあまり乗る人の少ないセダンというのは、どうにもおかしな感じです。

 

セダン。乗る?

セダン。乗りませんよね。今ではミドルクラス以上のオッサンかオジイサンかその奥さんくらいしか乗らなくなっているし、免許取り立ての若者であれば、たいていはミニバンか軽自動車に乗るでしょう。

私の勝手な感覚ではなく、日本自動車販売協会連合会が発表した2019年度の『車種別販売台数』によれば、セダンはたった20万代に満たず、コンパクトカーやSUVのそれぞれ半分以下。ミニバンの販売数にいたってはセダンの4倍以上です。

受験勉強はいつだって実践的ではないのが真理ですが、それにしたって車の運転は、人命の危機に繋がる可能性すらある重要なものです。

それだけに、「生まれて初めて運転する自動車」を、世の中で多く出回っている車種、あるいは運転者が一番最初に手に入れて乗る可能性が高い車種とはぜんぜん異なったものにすることに、強い違和感を覚えるわけです。

車学側もさすがに少しずつその傾向をあらため、セダン以外の車種を用意するところも現れてきているそうですが、それでも自動車学校も運転免許試験場も、ほとんどがセダンであることに変わりはないようです。

 

なぜ車学はセダンばかり?

実はこれにはちゃんと理由があります。自動車学校で使用していい車の条件というのが、法律(道交法の施行規制)で定められているからです。

1960年に。

もう一度言います。1960年に。

そんな大昔に作られた法律が現役なのだから、今や過去のものとなりつつあるセダンが使われ続けるのも納得という気がします。

ちなみに「セダンを使え」という具体的な法律ではありません。さすがに。

全長や全幅、乗車定員の決まりで、たとえば日本の車社会における現在の主流であるコンパクトカーは、これに当てはまらず使えないことになります。

他にも補助ミラーや補助ブレーキなどの安全装備の設置義務とその生産コストといった水面下の問題もありますが、一番大きいのは「運転免許試験場で試験を受ける際の車種がいまだにセダン一択だから」でしょう。

試験場と車学は似ているようでまったく別物です。ズブズブの関係なのに、両者はとりあえず切り離されています。まあ、このあたりのことは割愛します。

 

8216万人のファーストインプレッション

さて、車社会である日本の運転免許保有率は、2019年度の統計で8216万人だそうです。

そして、日本独自の運転免許取得プロセスにより、その大部分が高いお金を払って自動車学校に通います。

決められた時間、決められた車に乗ることを義務付けられます。

これがアメリカだと、州によって違いますが、4000円程度で免許が取れるところもあります(カリフォルニア)。

もう一度言います。4000円程度。

教習所もなく、筆記試験のあとぶっつけで試験場に行くだけです。おまけに試験を受けるときの車は持ち込みで、ほとんどが後で自分が実際に運転することになる家族の車を使うようです。

なにごともファーストインプレッションというのはとても大事であり、それは文字通り、生涯に残る体験として頭と体に刻み込まれます。

高いお金と長い時間を使って通わないといけない車学なんですから、せめてもっと実践的な車種、あるいは選択制で希望する車に乗れるようにすればいいのに。

……そういうことを、福岡東部にある海の見える某コンビニで、浮気調査のために張り込みながら、コーヒーを飲み終わるまでボンヤリ考えていました。

さいわい、プリウスミサイルは突っ込んできませんでした。

 

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