福岡の探偵から見た世界

このたびの九州中南部を襲った豪雨の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

久留米、柳川、大川、大牟田、荒尾といったあたりは、今年度の依頼でつい最近訪れた場所でした。

以前の記事【熊本地震】でも少し記したように、探偵というのは依頼を受けると、調査のため現地におもむき、特殊な時間の過ごし方をします。

他県の人間が、観光や仕事ではなかなか訪れないような場所で、何時間も何日も過ごします。

『行方探し』であれば、対象者の残した細い糸を頼りに、靴の裏がすり減るまであちこち歩き回り、

『行動調査』であれば、そのエリアで生活している対象者の日常に触れながら、現地に馴染みます。

この仕事をしていると、「こんな場所あったのか」とか、「こんな道、探偵やってなければ一生通らなかった」ということはザラにあるのです。

そんなわけで、久留米や柳川や大牟田などのエリアは、ここ最近ずっと滞在し、馴染みができた場所でした。それだけに、不意討ちとも言える突然の豪雨災害にはとても驚かされました。

私が散々走った国道210号や国道208号が、冠水し、川のような光景になっていたのは信じられない気分でした。

 

調査のため赴いたそのエリアには、依頼人の方たちが多く住んでいらっしゃいます。

立場上、気安く「大丈夫ですか?」という連絡をするわけにもいかず、心配ではあってもどうしようもないのが、探偵という影の存在の宿命です。

これもいつか記事に書こうと思っていたネタなんですが、『調査の現場というのは数珠つなぎに関わり合う』という不思議なジンクスが昔からあります。

つまり、ひとつの依頼が来ると、不思議と次やその次の依頼は、その近くのエリアからだったりするわけです。

たとえば、久留米の調査がずっと続き、ようやくメドがたったと思ったら柳川の方から依頼が来たり、ふだん行かない柳川をひんぱんに訪れ慣れてきたあたりで、次に来た依頼がたまたま大川だったり。

これは探偵を始めた当初からの不思議な因縁です。「現場は妙に重なる」他の探偵はどうかわかりません。

だから、次あたり、玉名や人吉、益城や菊池らへんの現場が入るかも……なんてフワフワ考えていた矢先のこの災害。

さすがに、しばらくは九州中南部からの調査依頼は来ないでしょう。

 

先の災害の爪痕すらいまだに癒えたとは言えないこの状況。

初夏ということもあり、稲田や夏の作物の畑がめちゃくちゃに荒らされた農家の心痛は、察するに余りあります。

探偵は、いかにその場所に愛着が湧いたとしても、しょせんは傍観者。旅人のようなもので、用が終われば立ち去る存在。根を張って、そこでじっと暮らしていくひとたちとは違います。

被害に遭った地への思い入れや感傷も、住人の方たちに比べれば、上辺だけの薄っぺらなものだと自覚はしています。

しかし、何時間も張り込み、地図・地形を頭に叩き込み、『道や建物を集中して視る』という行為は、探偵ならではの行為。

観光や仕事、日常生活の営みだけでは、なかなかそこまで『その場所に意識を集中』はしないものです。

そんな『探偵の目』には、今回の豪雨災害で住人の方々が撮影した『崩壊した日常』の決定的瞬間は、ある意味とても衝撃的だったのです。ふだんとは真逆に。

まあ、私立探偵のゴタクはともかく、被災された皆さまには、心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。

……それにしても、空梅雨の帳尻を合わせるかのようなこのデタラメな雨量。どんどん雑になってきていますね、気象……。

 

尾行・証拠撮影を得意とするもり探偵事務所は、福岡の私立探偵です。依頼があれば九州各地どこにだって参ります。