福岡の探偵から見た世界

 

史上初の『原油価格マイナス』

つい先日の話ですが、原油先物の取引価格が史上初のマイナスで取引されました。(マイナス37.63ドル)

どういうことかと言うと、お金をもらって原油を売るのではなく、お金を払って原油を引き取ってもらうということです。社会を支える基盤エネルギーたる原油が、水より安いどころか、粗大ゴミのように扱われるという、信じられない事態が起きてしまったのです。

これもまた、新型コロナが引き起こした事件でした。

そもそもの発端は、コロナ禍による全世界のロックダウン、行動規制、消費の停滞などで、人類のエネルギー消費量が激減し、原油が余りまくっていることでした。

需要と供給のバランスが崩れると、本来価値があるものでも値崩れを起こします。(素晴らしいベストセラーの本でも、最終的にはワゴンセールです)

二月くらいから原油先物価格は下落を続けていたのですが、ここで、産油国同士のイザコザが生じました。

詳細は長くなるので省きますが、サウジアラビア、ロシア、アメリカといった産油国が、原油価格を維持するため、産出量を減らそうと話し合いをしました。

しかし、産油国にとって産出量というのは簡単には減らせるものではありませんから、各国の思惑や利害関係がぶつかった結果、原油はさらにダブつくことになり、みるみるうちに値崩れしていったのです。

 

原油価格マイナスの三つの理由

しかし、それくらいでは、限りなくゼロ円に近くなっても、マイナスにはなりません。どうしてマイナスになったかと言うと、三つの理由があるそうです。

ひとつめは、原油というものが、保管にも移送にもお金がかかる金食い虫だということ。

確かに、大量の商品は保管するための場所が必要です。おまけに、液体というものはそのへんに置いておけるものではありません。

例えば、湧き水が無料で汲める場所があったとしても、容器も必要だし、運ぶための労働力や車、そして自宅に置いておくスペースなどが必要ですから、無料でオトクというだけではありません。

ましてや、原油は水とは違って容器も特別性のものが要ります。タダだから好きなだけ持っていって、と言われて「ではもらいます」と簡単なものではないのです。

ふたつめは、原油は廃棄してはいけないという規制があること。

捨てられるのであれば、価格はゼロ以下にはなりません。しかし、捨てられないという厳しい決まりがあり、保管も移送にもコストがかかり、しかも後から後から湧き出てくる(原油のパイプラインは水道のように止められず、常に出しっぱなし)ため、価格の下落に歯止めがかからなかったわけです。

そして肝心のみっつめ。意外な理由ですが、『先物取引の参加者が急激に増えたから』

世には、株式や商品先物、金属などさまざまなトレード商品があります。

一般的なのは、東証の日本株、アメリカダウの米国株ですが、歴史的水準まで暴落した原油価格に反発を見込み(リバウンド狙いというスタンダードな取引手法です)、普段参加しないトレーダーが一斉に『買い注文』で勝負を仕掛けたのです。

 

個人トレーダーがオンライントレードに参入

自粛で経済活動が制限されたことで、資金や意欲のある個人がオンライントレードに殺到。かつてないほどの活況だそうです。

そういう人々が、一攫千金を狙って原油先物に『買い』を入れました。「商品の値段はゼロ以下にはならないだろう」という思惑も働いたようです。

ところで、原油先物には『決済期限』があり、今回史上初のマイナス価格をつけたのは、『五月限』というものでした。

五月の指定日には決済して必ず売らねばならないのに、価格はどこまでも下がっていく……。予想を外して大損した投資家たちは我先にパニック売りを始め、売りが売りを呼び、暴落がさらなる暴落を招いたわけです。

価格はタガが外れたように急転直下し、本来はありえないはずのマイナス圏にまで突入、歴史に残る異常事態へとつながりました。

言ってしまえば、史上初の原油マイナスもまた、コロナが引き起こした『さまざまな史上初』のひとつということです。本当に、2020年は世界史に残るトンデモない一年になってしまってますね。(そしておそろしいことに、まだ三分の一)

 

ニュースでは報道しないコロナの水面下

仕事を出来なくなったひとたちが、自宅でも出来ることということでオンライントレードを始める。そして、本来は素人が触るようなものでもなかった『原油取引』に手を出した挙げ句、大損する……そういったことはあまり一般には知られませんが、社会現象として世に影響を与えます。

コロナに関しては連日さまざまなニュースが報道されています。しかし、表には出てこない裏の動きというものがたくさんあり、そういったものを注意深く観察し、いろいろなことを考えるのはとても興味深く有意義だと思います。

個人的に、目下のところ強い影響がありそうなのは、選挙を控えたトランプ氏の動向と、ワクチン開発に関してです。特に、コロナのワクチンは、今後原油以上の戦略資源となり得ます。

世界じゅうの優秀な頭脳がフル稼働してワクチン開発に勤しんでいることと思いますが、日本的な研究の構造では、ワクチンの早期開発はまず不可能でしょう(ノーベル賞をとった研究者が、日本の研究畑のスピード感のなさを嘆いていました)。

そうなると、頼りになるのはやはりアメリカということになりますが、もし仮にワクチンが開発されたとしても、トランプ大統領はそれを、政治と経済戦争の道具に使うおそれがあります。

原油が経済戦争の道具に使われたように、せっかくのワクチンも醜い紛争の種となり、予想もしていなかった事態を招くかもしれません。ワクチンをめぐる報道と、その裏の動きからは、目が離せません。

 

尾行・証拠撮影を得意とするもり探偵事務所は、福岡の私立探偵です。福岡のみなさん、なんとかこの問題を乗り切りましょう。