独身の証明
もり探偵事務所に依頼される行動調査で、もっとも多いのは浮気調査です。
しかし、行動調査はそれだけではありません。そのほかにも、対象車の資産状況の確認や、勤務先の判明といった民事の手続きに必要な情報を入手する調査もあります。
たいていのことは行動調査及び素行調査で判明しますが、中には行動を追跡するだけではわからないこともあります。
対象車が独身かどうかという婚姻歴です。
観察だけではわからない婚姻関係
結論から話すと、調査対象者が独身かどうかは、戸籍を見ないと100%はわかりません。
そして、戸籍というものは弁護士等の『有資格者』でなければ見ることは出来ず、有資格者であっても正当な理由なくしては閲覧出来ません。また、個人情報保護の観点から、戸籍や住民票などの第三者による取得・閲覧は年々厳しくなっています。
つまり、結婚歴の正確な調査というのは非常にハードルが高いということです。
独身かどうかにまつわる調査
もり探偵事務所では、これまでにも結婚に関する調査を引き受けてきました。内容は大きく分けて二つ。
一、結婚詐欺で行方をくらました相手を探して欲しい …… 行方調査
二、独身だと言っている相手が本当かを調べて欲しい …… 素行調査
一であれば、調査そのものは困難であるものの、やりようはあります。居なくなった人物を探し出せばいいシンプルな調査だからです。
問題は二に関してです。行動調査をすることは決してムダではありませんが、生活の実態しか調べることが出来ず、法的に独身かどうかまではわかりません。
たとえ暮らしぶりが独身者のものであっても、別居しているだけで籍は抜けていない可能性があるからです。(とは言っても、時間さえかければ、九割方は判明するのですが)
既婚者の嘘による事件
少し前のことですが、女性タレントが交際相手をカッターで傷つけ、傷害容疑で逮捕されるという事件がありました。この動機が、まさに「既婚者だったのに独身と騙された恨み」でした。
【美魔女モデル(43)が年下恋人をカッターで斬りつける 男性の裏切りに発狂した「奇跡のアラフォー」】(エキサイトニュース)
この事件は、加害者がいわゆるアラフォーの美魔女モデルである話題性が独り歩きしている部分が大きかったのですが、被害男性は「独身である」と偽って交際しており、なおかつ加害女性はこの男性の子供を妊娠していたということです。
女性の立場から考えれば、あまりにも酷い、完全に被害に遭ったと言える内容でしょう。
以前、【愛人の逃げ】 という記事で、「結婚を考えている相手が本当に独身かどうかは、相手の「自己申告」しかないのが現状です」と言った旨を記しました。だからこそ、浮気の証拠を掴まれた愛人は「既婚者だと知らなかった」と賠償責任から逃げようとするという記事です。
その反面、結婚を考えている相手が独身かどうかを調べる手段はなく、騙される危険性があるという内容を記しました。この傷害事件もまさにその類型だと言えるでしょう。
独身証明書
しかし、実は、結婚を考えている相手が独身かどうかを調べる方法がもう一つあります。それが【独身証明書】です。
意外に聞きなれない人も多いこの書類は、役所が発行する「独身であることの法的な証明書」です。
書類上には、【氏名】【生年月日】【本籍】と共に【「民法第732条(重婚の禁止)の規定に抵触しないことを証明する」】という文言が記載されます。
結局は自己申告であり、相手にバレないよう密かに確認するという『探偵の業務』とは厳密には異なります。
しかし、戸籍以外の書類で独身であることを証明できる、数少ない手段として存在価値はあるでしょう。
独身証明書のメリット
独身証明書は、基本的には『結婚相談所』や『婚活サイト』『マッチングアプリ』などでの登録の際に必要となります。
真面目に婚活を考えている証明として、提出することが義務付けられる場合があるようです。
しかし、それ以外であっても、結婚を前提とした交際相手に提示を求めることで、本気かどうかを確かめ、トラブルを回避するという使い方が望めます。
もし、独身証明書を取得することを嫌がるような相手であれば、真面目な結婚を考えていないとみなすことが出来るはずです。
戸籍と違い、独身証明書には見られて困るような内容(バツイチかどうかなど)が記されておらず、「見せられない理由がない」からです。
独身証明書の取り方
残念ながら、独身証明書は、いくら真面目に結婚を考えていても、第三者が勝手に取得することは出来ません。
独身証明書は、取得するひとの【本籍地】のある役所で請求可能です。本籍地は住民票に記載されています。
郵送でも可能ですが、その場合は当該の役所のホームページでダウンロード出来る申請書を用意して、身分証明書のコピーと返信用封筒、申請料(300円前後)など必要なものを同封し、郵便請求します。
窓口に行った際も、基本的には本人しか取得出来ませんから、身分証は必須です。
注意点としては、いくら相手が独身かどうか確かめたいからと言って、こっそりコピーした免許などを使って勝手に独身証明書を請求することは厳禁です。法的な罰を受ける可能性があります。
まとめ
相手に気づかれず結婚しているかを調べる方法は二つしかありません。
ひとつは行動調査で素行を調べる方法。暮らしぶりなどを丁寧に追跡すれば、九割くらいは判明させることが出来ます。
もうひとつは、有資格者による戸籍謄本などの取得。これだと法的に100%はっきりさせられますが、ハードルは高いです。
しかし、真面目に結婚を考えている相手から既婚者であることを騙されるのを避けるためには、【独身証明書】を見せてもらうのがもっとも手っ取り早い手段です。
「その人物が独身である」という以外の情報は【本籍】くらいしか記載されていませんから(そして本籍は必ずしも住所である必要はありません。皇居にしているひとも大勢居るくらいです)、見られて困るものでもありません。
相手の本気度を測るという意味でも、少し怪しいと思ったときは思いきって取得を頼んでみるのはどうでしょうか。