執念の値段

複数の県を股にかけ、7年で100件近くの空き巣を繰り返し、警察関係者から通称「大泥棒」という異名で呼ばれていた窃盗犯を、執念の捜査の末に逮捕した、というニュースを目にしました。

犯人は、泥棒で生計を立てていたいわばプロの窃盗犯でした。

 

職業的大泥棒の暮らし

「職業的大泥棒」というと、派手で華麗な大物犯罪者というイメージが浮かびますが、それに反して、この犯人の生活は質素そのもの。廃屋に寝具を持ち込んでひっそりと暮らしていたそうです。

逮捕容疑は現金約15万円の窃盗だったとの事ですが、平均値を一件15万だと仮定すれば、100件で1500万。

空き巣の稼ぎとしてはたいしたものですが、働いて得た収入として考えるならば、7年で1500万というのは、年収にして約214万円です。

住所のないホームレス生活で無職であるならば、保険証も無くローンも組めず、電気もガスもお湯も使えずに、月々の生活費は17万ちょっと。

窃盗というリスクを取っている事を考えれば、割の良い暮らしとは言えません。

もちろん、強引な計算なので実際の「売上」は不明です。

しかし、ニュースによるとこの窃盗犯の「自分へのご褒美」は、たまに県外へと出かける小旅行で、「まともな」宿泊施設に泊まったり、サウナでのんびりするというささやかなことだったらしいです。

あながち的外れとも言えないように思えます。。

 

大泥棒の命取り

そんな「大泥棒」の命取りになったのは、窃盗の被害者宅の付近にあった防犯カメラの映像でした。

その映像から本人を特定した事で本格的な捜査がスタート。

多い時には20人もの捜査態勢で広域捜査網が敷かれ、現場周辺の聞き込み調査や、写真を配布しての手配が行われたそうです。

合わせて、特定の住居が無く、ホームレスとして生活している可能性から、本拠地とされるエリアでは廃屋や空き家の捜索も実施されました。

しかし、逮捕には繋がりません。結局、決め手になったのは、コンビニの店長からの通報でした。

「手配書の男に似た人物が来店した」という通報を元に駆けつけた捜査員たちが、本人らしき男性を発見。そのコンビニから徒歩圏内の廃屋に出入りする男を見つけ、逮捕したというのがこの事件の顛末です。

 

警察の執念

まさに警察の執念の捜査が実った瞬間でしたが、同じ人探しを仕事とする私達探偵に、同じ事は出来ません。四つもの問題が壁としてあるからです。

 

①人員の問題

どんな大手の調査事務所であっても20人もの一大捜査態勢は実現不能です。

仮のたとえ話ですが、日当1万円の学生バイトを使ったとしても、1日で20万円。1週間も調査すれば140万もの金額になります。多人数を動員するのはそれだけ大変な事なのです。

もちろん、人探しというのは、激短の学生バイトに務まるような業務ではありません。

探偵は、多くの場合一人か二人で、あるいは多くても三人~四人程度の人員で捜索をするのが実情です。

 

②期間的な問題

この窃盗犯は、昨年10月に本格的な捜査がスタートし、12月には全国指名手配されています。そして逮捕されたのが2月です。期間として4か月近くにもなります。

探偵が一つの行方調査で4か月もの間捜査に集中出来る事はまずありません。2か月でも珍しいでしょう。

 

③手法的な問題

当然の事ながら、私達探偵には、国家権力による強制力は一切ありません。

聞き込みがメインなのは同様ですが、あくまで、自発的に話してもらうことしか出来ないのです。「話術」のみが頼りです。

警察であれば「市民の協力」という非常に強力な情報源が期待出来ます(事実、この件でも決め手になったのはコレです)が、探偵に進んで協力的な市民はそれほど居ません。

 

④予算的な問題

とある県警が公表している年間の捜査費用は1500万円というデータがあります。

この捜査費用は、現場の捜査員たちの聞き込みや張込みの実費経費から、捜査協力者に対する謝礼金まで様々な用途があるようです。

殺人事件や重大な犯罪捜査ほど多額の経費を要するでしょうから、空き巣犯の捜索にはそれほど捜査費用は割かないと思われます。

とはいえ、4ヶ月近く、最大20人もの捜査態勢ですから、少なく見ても100万は下らないのでは、と思います。

そして最も必要なものが人件費です。

国税庁の公表する平成26年度の民間給与実態統計調査によると、サラリーマンの年収の平均は「415万円」、月収にして「約35万」です。

少々乱暴な計算にはなりますが、一ヶ月この空き巣調査に専従した捜査員が5人居たら、人件費はざっと175万円です。四ヶ月でかけると実に700万円です。

実際にこの「大泥棒捜索」に参加した捜査員の総数を考えると、莫大な金額の人件費が発生した計算になります。そこに100万は下らないと思われる捜査費用を足した金額が、この「広域捜査網の料金」なのです。

 

探偵と警察の違い

私達探偵は、民間のサービス業です。依頼人から頂く報酬以外に、もらえる予算は一切ありません。

だからこそ、一件の行方探しに割ける人員も期間も限られてしまうのです。

またも乱暴な計算ですが、2人の調査員を一月行方探しに集中させた場合、人件費だけで70万円です。これに経費も必要ですから、実際にかかる費用はさらに増える事になります。

「行方調査」がどうしても高額になってしまうのは、ある意味で仕方がないことなのです。

警察が一人の空き巣を捕まえる際の正確な金額は、公表されていないから分かりません。

しかし、探偵が、お金を借り逃げした人物を捜索したり、行方知れずになっている人物を探す料金とは、比べ物にならない高額である事は間違いありません。

 

探偵の予算の出所

「警察はちゃんと結果を出してくれる。探偵とは違う」

……そんな意見もあるかもしれませんが、決して探偵が行方探しで結果を出せないわけではありません。

むしろ、警察の方に負けない「執念」でもって、行方知れずの人を探し当てます。

誰かを探したくて探偵に支払われるそのお金は、税金などではなく、依頼人の「自分のお金」だからです。

身銭を切って依頼する依頼人の方にとって、金額が大きいか小さいかなんて関係がありません。

最初から、「執念のない行方探しの依頼」なんてないのです。

依頼人の執念はそのまま探偵の執念でもあります。

 

探偵の執念

私達探偵に警察と同じ捜査は不可能ですが、探偵ならではの発想や手法、執念でもって行方調査にあたります。

そして多くの場合、探偵に依頼される「人探し」は、警察では引き受けてもらえない件なのです。

 

 

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