
探偵とファッション
探偵はファッションに敏感です。
のっけから「タイトルに偽りあり」という感じがしますが、ファッションに敏感であることと、ファッショナブルとは似ているようで全然別です。
漁師さんが、魚という生き物を特に好きでなくても、その種類や生態に詳しいのと同じ意味合いです。
なにしろ探偵にとって『服装』というのは対象者の重要な識別情報。
本人特定の一番の決め手は「顔」だとしても、全身のスペースの割合を考えるなら、顔なんて身体のごく一部。その面積は小さく、情報量で言うなら圧倒的に体全体……どんな服装かが、もっとも基本的な判断材料になるのです。
つまり、探偵にとってファッションとは、業務上無視できない要素の一つということです。
探偵のファッション・チェック
そんなわけで、我々は対象者の服装をじっくり観察します。
と同時に、特定の対象者を人ごみの中から抽出するため、まわりに居る同じような性別・年齢・体型のよく似た人々の服装もじろじろ見て、比較・判別しなくてはなりません。
だから、特にふだんからチェックしなくとも、流行のファッションというのが、自然に把握できてしまうわけです。
たとえば、今の10代20代の若い層のファッションは、圧倒的に韓流スターの影響が大きいように感じます。
私にも当然10代20代の頃があり、その当時はその当時で流行ったファッションというのがあったんですが、ネットもスマホもある今の時代、ファッション先進国(と若い層に思われている)韓国のアイコンが、流行に強い作用をもたらしているのかもしれません。
とはいえ、10代20代というのは依頼人になることも対象者になることもほとんどありません。我々が変装としてその格好をすることはもっとありません。だから、そのファッションは探偵的にはそれほど関係ありません。。
(以前は『家出人の捜索』などで若い対象者もそれなりにありましたが、私の実感として、そういう依頼は激減しました。最近の若い人は家出なんかしなくなっているのかも)
問題となるのは男女ともに『30代以降』の服装です。
探偵ドレスコード
ファッションはぶっちゃけ『収入』に大きく左右されるので、どんな職についているかで服装の系統は決まる傾向があります。
(もちろん、好みやライフスタイルもあるのは否定しません)
『BEAMS命』な男性も居れば、いわゆる『ZARA女』も居るでしょう。学生気分が抜けておらず、執拗にスポーツブランドを着続けるひとも男女問わず居ます。(たとえばadidas。対象者はやたらadidas好きが多い)
そのへんは列挙するとキリがないんですが、探偵にとっての『ファッションの不文律』はたった二つです。
「探偵の服装はもっとも多数派のものにすべし」
「調査は対象者と似たような服装でやるべし」
言うまでもなく、いかに目立たないようにするかという、探偵の絶対ルールゆえのドレスコードです。そこでようやくタイトルへとつながるわけです。
そういうわけで、タイトルのごとし
とりあえず、今もっとも無難で目立たず、あらゆる年齢層で「みんなと同じ服装」にしやすいのは、ユニクロかGUです。あとは、その両者の牙城を崩す勢いで支持を集めているワークマンでしょうか。
私が言っている意味は、週末のショッピングモールにでも行けばよくわかるはず。
土日のユニクロGUでは、あらゆる年代の客が、それこそ足の踏み場もないほどごった返しているのを目の当たりにするでしょう。
(もちろん、土日のワークマンもまた行列ができるくらいの勢いです)
そもそも、それらは「大量生産でそこそこの品質と安さを実現している」アパレルですから、多数派に紛れるという意味で、これ以上の隠れミノはありません。
そんなわけで、私自身個人的にはユニクロもGUもワークマンも興味ないにも関わらず、「仕事着」として定期的にそれぞれをマメに買い込み、ワードロープに仕舞い込んでいます。
勘違いないよう言っておくと、ファッションブランドとしてユニクロGUワークマンも、それを購入するひともバカにするつもりは毛頭ありません。
理由や目的はともかく、私もそれらの服を着ているからわかります。
ユニクロは、二十年ほど前はダサさの象徴だったものですが、今やすっかりファッション性が上がり、「どんな年代の誰が着ても似合うデザイン」として完成しています。
GUはユニクロの廉価版という位置づけにも関わらず、コストパフォーマンスに非常に優れ、なおかつシンプルデザインが好きな人間にとっては、ときどきかなりの掘り出し物に当たります。
ワークマンに至っては、驚異の軽さと機能性と安さでありながら、デザインもよく、アウトドア系ブランド(その多くは正直言ってかなりお高めです)と比べても遜色はありません。
どうして大勢に支持されているかも納得のクオリティなわけです。
そして、「コストパフォーマンスがよく、誰にでも似合い、老若男女を問わないからこそ大勢に支持される」という、その『大衆性』が、探偵にとってのユニフォームたり得る一番の理由というわけなのです。
もり探偵事務所は、尾行・証拠撮影を得意とする福岡の私立探偵です。