探偵業務の深部解説
deep commentary
謎に満ちた 探偵業務
セキュリティに関する調査
- 盗聴・盗撮は現実にある
- 社会のモラルは崩壊中
- ストーカーは 必ず増える
- 近所トラブルは自衛しかない
- 認知症の問題に 防犯カメラ
- カメラはプロが設置すべき
- 財産は 自力で護る
行動調査とは
尾行・張り込み・証拠撮影により、調査対象者を追跡・記録する、あらゆる情報収集の基本です。
探偵にとって最大の武器で、この良し悪しが、探偵事務所のレベルを決めると言っても過言ではありません。
もり探偵事務所がもっとも力を入れている部分であり、探偵としての個人の力量は、九州でもトップクラスと自負しております。
■ 解説! 行動調査
まず、写真などを手がかりに、対象者本人を見分けます。これを面取りと言います。
初めて見る人を、何百人の中から特定しなくてはならない、非常に難しい作業です。
ここで失敗すると、その後すべての調査が不能になります。
徒歩・自転車・バイク・車・電車・飛行機と、あらゆる手段を用いて、相手を追跡します。
どんなに予想外なことをされても、対応しなくてはなりません。
世には、「公衆トイレに1時間こもる人」「とつぜん山に登り始める人」も居ますから、一筋縄ではいきません。
一度見失ったら、ほぼ終了。挽回はまずできません。
タクシーに乗られようが、エレベータを使われようが、臨機応変に対処します。
ベッタリ追跡する大胆さと、バレない慎重さが、両方求められます。
ただ追えばいいのではなく、証拠としてカタチに残さないと、完全な調査とは言えません。
多くは、ビデオを使った動画撮影になります。
そのほうが圧倒的にチャンスを逃さず、失敗も少ないからです。その後、写真にするのも簡単です。
行動調査で得た情報を、時系列にまとめ、報告書を作成します。
何百枚もの分厚い報告書を作る調査会社もありますが、もり探偵事務所では、要点をまとめた、洗練された報告書を作ります。
私の経験上、依頼人様に必要なのは写真と要点だし、弁護士は「ムダに量が多い、探偵が書いた作文」みたいな報告書を、露骨に嫌います。
■ 実録! 行動調査
■ 行動調査はセンス
探偵はセンスです。厳しい言い方ですが、センスがないと、何年やってもダメだし、何人居ても使えません。
限られた情報だけで、何百人の中から本人を特定する能力は100%才能。
「バレないように」しつつ、「見失わないように」追跡する絶妙な距離感は、感覚的なもの。
これまで、何十人もの新人調査員・調査員志望者を見ました。
センスのない調査員が四人集まるより、センスのある調査員が二人居るほうが、格段にいい成果が出せます。
■ ハッタリ機材は必要なし
500mの超望遠レンズ! … 使いません。500mも離れた場所で、いったい何をするの?
暗闇でも見える暗視カメラ! … 使いません。モモンガじゃあるまいし、そんな真の暗闇でHなことする対象者は、まず居ません。
私は、数え切れない現場を経験してきた本物の探偵ですが、特殊な機材が必要だった調査なんて、ほとんどありません。
調査は何よりもセンスがモノを言うからです。
ではなぜ、超高性能機材を誇る探偵が多いのか? メカオタクか、広告用のハッタリでしょう。
↑ ダメな例
■ 行動調査のムジュン
「見失わないようにするには」 … 相手に張り付いて、絶対に離れないことです。
「バレないようにするには」 … 相手から離れて、距離を保つことです。
… 相手に接近しすぎるからです。
……完全にムジュンしてますよね。これが行動調査です。
コレを上手くやるには、独特の距離感覚が必要ですが、運動神経や絶対音感と同じで、長くやれば身につくものでもありません。
探偵はセンス。その意味がコレで分かると思います。
↑ ダメな例
■「バレない調査」VS「見失わない調査」
ムジュンした2つの要素。現場では、どっちかを優先させないといけない状況もあります。
そして、多くの探偵は「見失わない調査」を優先させます。そのほうがお金になるからです。
たとえば、無理して続けたら、警戒されてしまう現場があったとします。
2時間で中止したら、2時間分しかお金になりません。
強引に8時間調査し続ければ、8時間分のギャラが発生します。
怪しい探偵が自分を付けまわしても、「おまえさっきから付けてるだろ!」と言える強気な人ばかりじゃありませんから、警戒した対象者は、家にこもったり、ひたすら車でウロウロしたりして、マトモに動かなくなります。
その結果、調査時間だけはムダに長いのに、なにも動かないという「空振り」が生じます。
プロユースの特殊機材
福岡の現役探偵でも、私はあまり機材に頼らないタイプです。
とはいえ、スマホやハンディカムだけで調査しているわけではありません。
プロユースの機材も使います。
探偵もりが、現場で使うおもな特殊機材は、【高性能GPS】と【偽装カメラ】
GPSについては、別の項で説明します。ここでは偽装カメラについて。
◆ 隠しカメラは 厳選して使う
私は隠しカメラを好みません。
どんなにプロ仕様の、目立たない造りでも、設置する限り発覚リスクは生じるからです。
(付けさえしなければ、リスクはゼロ)
とはいえ、どうしても機材に頼らざるをえない状況もあります。
その際は、「1にカモフラ2に偽装、3・4がなくて、5にコンシールド」
…というくらい、徹底的にリスクを抑えて使用します。
弊所の偽装カメラ (隣はサイズ比較のUSBメモリ)
◆ この写真でどこに 偽装カメラがあるか分かりますか?
じっさいの現場で、私が偽装カメラを設置した写真をお見せします。
さてあなたは、どこにカメラが設置してあるか見破れますか?
(なお、ネタバレは調査に支障をきたすため、答え合わせはありません。ご理解ください)
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
……というのであれば、それは探偵もりのカモフラージュが、上手くいっている証拠です。
【GPSの真実】
GPSを使わない探偵・調査業者は居ません。
とくに探偵歴10年未満の若い探偵は、「GPSなしの調査? ありえない。ムリッ」と言うでしょう。
でも、私はGPSを盲信していません。
GPSだけに頼っていては、素人と一緒だし、なにより「GPSを軽く考えるべきじゃない」という信条があるからです。
●【プロ用GPSの 見本写真】
弊所が以前使用していたGPS端末です。(現在使用しているものは 非公開)
↑ はサイズ比較の単三電池。
小型化に特化しており、電池はあまり持ちませんが、この小ささで念入りに偽装すれば、まずバレません。
● GPSはあくまでサポート。頼りすぎない。
私は、GPSに頼らず調査できる、数少ない探偵です。
それがまだ普及していなかった時代から、探偵をやっているからこそ、可能な芸当です。
GPSは「便利だけど、トラブルも起こす困ったチャン」。
正しく使わないと、依頼人さまにとって、大きな不利益にもなるのです。
しかし、それを正しく説明する探偵はほとんど居ません。
「とりあえずGPS。付けましょ」と、すぐにホイホイ使いたがります。
● GPSは違法?
GPSは違法ではありません。ぎりぎりグレーです。
ただし、夫婦の共有財産の車両など、限られた場合のみです。
配偶者でも法に触れるケースもあります。
ましてや、ただの交際相手や第三者に使うのは、問答無用で問題になります。
本来は、法律・判例を熟知したうえで、きわめて慎重に扱うべきなのです。
なのに、あまりに一般普及したせいで、誰もがGPSに対し、気安くなりすぎていると感じます。
● GPSの付け方。どこに? どうやって?
GPSは調査対象者の車両に使うのが一般的です。
小型化して、カバンや靴に装着する例もありますが、グッと難度が上がるので、レアなケースでしょう。
基本的に強力な磁石によって装着します。
両面テープやクリップは、湿気・振動で簡単に落ちることがあるので、なるべく避けます。
車の外装に付けたら一発でバレますから、95%は車の裏側の目立たない部分に付けます。
残りの5%は、車内のシートや隙間、トランクやボンネット、そして、探偵もりの秘密の場所です。
● GPSを雑に扱う = 依頼人をテキトーに扱う
じつは私は、GPSがバレたことがほとんどありません。
とにかく、慎重に、ていねいに扱うからです。
(ゼロとは言いません。でも依頼人さまのミスなど、不可抗力でした。だから、トラブルにもなっていません)
探偵によっては
などと豪語します。業界全体を見ても、GPSに真剣な、私のような探偵が珍しいくらいです。
でも、GPSがバレた行動調査は、ほぼ成功が見込めません。
あるいは、なんとか結果が出せても、不完全だったり、おそろしく金がかかります。
「GPSがバレる = 依頼人が確実にマイナスを負う」
……なのに、軽く考える(あるいは全然考えない)のは、つまり、依頼人さまの扱い自体が、雑ということです。
● もしGPSが見つかったら?
年々、GPSは見つかりやすくなっています。
雑な探偵が増えたせいもありますが、ネットで調べれば、簡単に探し方が分かるからです。
また、普通の調査で食えない探偵が、「探偵に付けられたGPSを見つけます」と、同業者を売るような業務をしている話も聞きます。
GPSが見つけられた場合、その後の展開は、だいたい3つです。
①警察に届けられる
②直接突きつけられる
③あえて付けたまま
①警察に届けられる
夫婦の浮気問題であれば、警察も介入してきません。
付けた側に「心当たりありませんか?」と交番から電話が来るくらいで、逮捕されたりは普通しません。
ただし、DVの問題として大げさに騒がれるリスクはあります。
ただの交際相手や第三者だと、ストーカーやプライバシー侵害に発展し、問題が大きくなります。
②突きつけられる
そこまでこじれていない夫婦の場合、警察沙汰を避けるため、直接相手に突きつけます。
だいたい8割はこのパターンです。
開き直るか、トボけるかは、付けた本人次第。
ただし、その後はおそろしく警戒されますから、再度GPSを付けることはもちろん、普通の調査すら、困難になります。
③あえて外さない強敵
普通の人は、車からGPSが見つかれば、パニックになります。すぐ外して、どうすればいいか悩むでしょう。
しかし、あえて付けっぱなしにする相手もいます。その目的は2つ。
1 わざと怪しくない行動をとり、自分の潔白を偽証するため。
2「どんな相手がGPSを付けたのか」確認するため。
● 対象者から捕獲! 警察に連れて行かれた探偵
クレバーな強敵は、あえてGPSを外しません。
そして、ノコノコGPSを回収しにきたところを、撮影したり、取り押さえるわけです。
じっさいに福岡でも、GPSを回収しにいった探偵が、待ち伏せていた対象者に捕らえられ、警察に連行されるケースがありました。(ニュースにはなっていません)
なぜ私が知っているか。私が受けなかった案件の話だからです。
その相談者は、GPSに対して慎重すぎる私を嫌がって、ドタキャンして福岡の別の探偵に依頼しました。
そして、その探偵が捕まり、警察ざたになったところで、パニックになりながら「どうすればいいでしょう!?」と私に連絡してきたのです。
ためしにその調査会社のホームページを見てみました。
やたらホームページの立派な調査会社で、「弁護士と提携!」「福岡トップクラス!」とか書いてありますが、警察ざたになったことの謝罪も、所信表明もありませんでした。
● 依頼人にGPSを付けさせるのには反対
最近の探偵・調査業者は、リスク回避のため「依頼人自身にGPSを付けさせる」ところが激増しています。
たしかに、それは法的な問題をクリアする一つの方法です。
しかし、探偵が付けても見つかる機器を、素人の、それもごく普通の主婦が「ハイ」と渡されて、うまく付けられるはずがありません。
付け方を指示されても、隠れてコッソリ付けるなんて非日常的行為が、スムーズにいくはずがないのです。
「依頼人自身にGPSを付けさせる」
……これは、単に探偵が、自分たちのリスクを回避するための発想です。
本当に依頼人さまのためを思い、その幸せのために二人三脚で動くのなら、そこはもっと考えるべきというのが、私の考えです。
行方調査
ゆくえ調査と読みます。その名の通り、居なくなった人のゆくえを探す調査です。
居なくなった人にはいくつかパターンがあります。
- 連絡を取らないうちに、どこに居るか分からなくなった
- ケンカしたなど、トラブルがあって連絡しなくなった
- 相手が自分から逃げた
共通しているのは、
です。● 人探しは警察が一番だけど
居なくなった人を見つける一番の方法は、警察が本気で探すことです。
捜査員の数、装備、国家権力、捜査網と、警察の本気の捜索能力はズバ抜けています。
殺人事件の犯人など、必死で逃げている人間だって捕まえられることでも、分かる通りです。
しかし致命的な欠点もあります。
逆に言えば、事件の犯人などでないと、本気で探してくれないこと。
「昔の恋人」「連絡がつかなくなった友人」「お金を借りて逃げた人」なんかは、探してはくれないのです。
● 探偵調査の最高峰
探偵で一番難しい調査は人探しです。なぜなら、いっさい機械に頼れないからです。
行動調査ならGPS。盗聴器発見なら電波受信機。ほかの調査であれば、機械のサポートが受けられます。
ですが、人を探すのには、なんのサポートも使えません。
昔は「戸籍・住民票」という大きな手がかりがありました。
行動調査におけるGPSくらい重要な手助けです。
しかし、現状の探偵はそういった書類をいっさい利用出来ませんから、なんの助けも得られず、行方調査は非常に困難なのです。
● SNS探偵はただのジグソーパズル
「ネットを使った人探しは? SNS探偵って聞いたことがあるけど…」
そういう人も居るかもしれませんね。ですが、SNSで探すのは、捜索ではなくただの検索です。
情報を自分で見つけるのではなく、落ちてある情報を拾い上げるだけ。
行方調査が絵を描くことなら、SNS調査はジグソーパズルです。
無意味とまでは言いませんが、根気があれば誰にでも出来ます。
そもそも、SNSとは自分を発信すること。自分から目立とうとしている人を探す必要はありません。
● 探偵に戸籍・住民票は取れない
戸籍・住民票などの公簿を取れば、すぐ見つかるほど人探しは甘くありません。
ですが、重要な手がかりには違いありません。
家族構成や、少なくとも一度は住んでいた場所が分かれば、そこから調査を広げていけるからです。
しかし、取れると思っている依頼人も多いですが、探偵に公簿は取得できません。
特に、依頼人の身内以外の第三者の公簿など、ほぼ不可能です。
弁護士や司法書士、行政書士などの国家資格保持者であれば、特別な権限で、第三者の公簿を取得できます。
でもそれも、正当な理由があるときに限られます。
●行方調査のやり方
じゃあ探偵はどうやって居なくなった人を探すのか?
警察のような圧倒的な組織力もなく、国家資格保持者のような特権もない…。
そんな探偵が駆使するのは、個人の人間力です。
独自のネットワークを使った情報収集。知性と経験による推理。
人の気持ちをつかむ聞き込み。ちょっとグレーなアレコレ。
こういった独自の手段で、居なくなった人を追いかけます。 これらは、公務員には絶対マネできず、単に資格を持っているだけの人間にも出来ない調査です。
● 食えない弁護士が参入!?
仕事がなく食えない弁護士が居る時代だそうです。ベテラン弁護士や裁判所の人から直接聞きました。
資格を簡単にしたせいで、弁護士の数は増え、レベルは低下。
結果として競争が激しくなり、「資格があるだけ」レベルの弁護士は、仕事がなくて困っているそうです。
そういう弁護士は、優秀な同業がひしめく競争世界からドロップ・アウトし、ほかの業界へ食い込もうとします。
そして今、人探しに参入する弁護士も居るようなのです。
人探しをする弁護士が居る…私がそれを知ったのは、
です。とある人探しで、「ウチでは引き受けられません」と断った件がありました。
「どうしてダメなんだ!」と食い下がられたので、ハッキリ「法律やモラルに反する可能性があるからです。たとえば弁護士なんかは、ぜったい嫌がりますよ」と答えました。
そして後日、その相談者から「やるっていう弁護士がちゃんと居たぞ」と、わざわざ報告があったのです。
それを聞いて「マジで?」と思いました。
たしかに金にはなりそうだったけど、あんなヤバい件を弁護士が引き受けるなんて。
後日、その危ない相談内容を、付き合いのあるベテラン弁護士にたずねてみました。
「自分だったら絶対関わらない」と、そのベテランは断言しました。
● 弁護士特権で ヤバい人探し
探偵業務の中でも、尾行・張り込みや盗聴器発見といった現場仕事は、弁護士にはできません。
しかし、こと人探しだけは、弁護士も可能です。
行方調査で重要な手がかりである公簿…「戸籍」「住民票」といった書類を、弁護士なら簡単に取得できるからです。
他にも、弁護士会照会という強力な調査手段もあります。
そういった特権は、ベテランだろうが食えない新人だろうが、資格さえあれば持てる特権です。 だから、マトモな仕事のない弁護士に、資格の権威だけを使って人探しをしようという人が現れたのかもしれません。
マジで札束をドンと置かれ「何も聞かず探してくれ」と言われることもあります。
私は断りますが、引き受ける人は引き受けちゃうのでしょう。
● 探偵だからできること
公簿や弁護士照会は強力な捜索手段ですが、けっきょくはデータでしかありません。
たとえば、いくら他人の住民票が簡単には取れないレア情報でも、そこに記載された住所を報告すれば人探しは成功かといえば、そんなことはありません。
その住所に行き、対象者が住んでいるかを確認し、本人撮影をし、依頼人に確認してもらって、初めて調査は成功です。
その裏付け調査こそ探偵の存在意義なんですが、それを弁護士がどこまでやるのか。
先ほど話した、「私が断ったストーカー的案件」を受けた弁護士が、その後どうなったかという話は聞けていないので、分かりません。
しかし、探偵でも大変な、靴をすり減らす地道な現場仕事を、高難度資格保有者が同じようにするかは、疑問です。
● デタラメがまかりとおる行方調査
行方調査は探偵からは人気のある業務です。
50万100万は当たり前。中にはそれ以上の金額を請求する探偵もたくさん居ます。
でも、行方調査の成功率なんて、ちゃんと見つけてきた本物の探偵である私から見ても、良くて3割くらいです。
さすがに100万200万取っておきながら失敗しました…では依頼人も納得しませんから、最近の探偵は、ほとんど成功報酬でやっているようです。
しかし、この成功報酬にカラクリがあります。成功をインチキしてしまう探偵が居るのです。
これらは、実際に被害にあった依頼人から聞いた、福岡の探偵のインチキです。
①「調査成功! ……でも引っ越しました」
本人を見つけたと言って、福岡からは簡単には行けない遠い場所の住所を報告する手口です。
ちなみに、私が聞いたのはすべて東京でした。
渋谷とか歌舞伎町とかの、雑居ビルやタワーマンションの一室なんかに「本人が住んでいます」と報告します。
もちろんデタラメで、住所は実在しても、そこに本人が居るなんてウソです。
依頼人はそう簡単にはそんな場所に行けないし、行ったとしても本人は居ません。
周囲に事情を聞こうにも、歌舞伎町みたいな場所の雑居ビルや、コンシェルジュの居るタワマンなんて、素人は聞き込み出来ません。
そうこうしているうちに、
「引っ越してけっきょく会えなかったが、一度は居場所を特定した。成功です」と言い張る…
これが手口1です。
②「見つけましたが、相手が拒否したので報告できません」
…これが手口2です。メチャクチャですね。
どちらも依頼人は納得するわけがありませんが、コワモテの探偵が怖くて、文句が言えなかったそうです。
「せめてGoogleの口コミに書いたらどうですか?」と私は言いました。同じ被害者が出ないためにも。
でも、「名前も住所も知られている探偵相手に★1なんて付けたら、あとが怖い」そうです。
そこのGoogle Mapの評価を見ましたが、不自然な★5ばかりで、悪い評価はぜんぜんついていませんでした。
● それでも挑戦したい仕事
国家権力も特別な権限もない我々探偵が、デタラメインチキをすることなく人探しを成功させるのは、本当に大変です。
でも、だからこそ挑戦しがいもあります。
警察にも弁護士にもできないことを、1人の探偵がやる…。
それは、この仕事に人生を捧げた人間にとって、大きなプライドになります。
だから私は、絶対にインチキはしないし、受けた行方調査は全力でこなします。
それでも成功率は低いのが現実ですが、上手くいくケースももちろんあり、そういうときは、「さすがはプロですね!」と依頼人さまは非常に驚き、「もりさんを信じて、本当に良かった」と、心から感謝されます。
それが聞きたくて、私は、難しくてあまりお金にもならないこの業務を引き受けるのです。
セキュリティに関する調査
行動調査や行方調査が、探偵の個人技能をメインにした調査なら、セキュリティに関する業務は、おもに機械を使った調査です。
誰かが機械を使って、プライバシーや財産を侵害する……
それを、同じように機械を利用することで、防衛・発見・除去するのが、この業務の目的です。
しかし、悪意をもつ侵害者と、対抗する探偵は、じつは同じ機械を使っているのです。
▼ 機械は 正にも悪にもなる!
動画を撮る【録画機】
音を聞く【音声発信器】
動きを追跡する【GPS】
これらを違法に使うと、アラ不思議。
【盗撮器】【盗聴器】【ストーカー機器】へと名前を変えます。
ようは機械を違法に使うか、合法的に使うか。
他人を害する意図があるか、他人を守ろうとする意志があるか。
たとえば車上荒らし対策では、犯行を隠しカメラで録画し、証拠を押さえます。
社内の不正や、密室での暴力を証拠に取るには、盗聴器(正式な名称は音声送信機)を仕掛けることが、有効な手段です。
▼ セキュリティに関する業務とは
おもな業務は以下の通り。- 盗聴・盗撮 (発見・除去・カウンセリング)
- ストーカー
- 車上荒らし
- いじめ・イタズラ
- 盗聴以外の違法機材の除去
- 警備会社とは違ったホームセキュリティ
- 家庭用カメラのアドバイス (設定・設置から偽装まで)
- 認知症の動向見守り (本人に自覚がない盗難妄想など)
- ご近所トラブル
- 親族問題
▼ 攻撃者 VS 探偵
我々探偵がセキュリティを守れるのは、我々自身が、機械を使いこなして情報を得る、スパイ的な業務を得意とするからです。
探偵は、誰かの会話を聞き取ったり、隠し撮りしたりするのが仕事です。
つまり、盗聴・盗撮する人間と同じことができるわけです。
攻撃者にもプロは居ますが、そういう凄腕は企業や要人を狙うため、個人をターゲットにすることはほとんどありません。
多くの盗聴・盗撮者は、ネットで機械を買っただけの素人です。
対して我々はプロですから、機械の使いかたも、使用経験も、場数も、段違いです。
だから、悪意の攻撃者の一枚上手を行き、それを防ぐことができるのです。
▼ 盗聴・盗撮は【そこ】にある危機
よく聞かれるのが「
盗聴も盗撮もリアルです。それは強盗事件や交通事故のようなもの。
たとえ現時点で自分に関わりがなくても、連日ニュースで流れる通り、知らないどこかでそれは存在します。
そして、ある日とつぜん、自分の身に降りかかったとき……
他人事ではなくなるのです。
ネットの発達により、盗聴は容易になりました。
昔は、盗聴器の扱いは、
盗聴器も、秋葉原などの怪しいショップでしか売っていませんでした。
言ってみれば、盗聴は【プロフェッショナル変態芸】だったわけです。
しかし、今ではちょっとネット検索すれば、盗聴のやり方がすぐ出てきます。
ネット通販で、簡単に盗聴器(という名前では販売されていませんが)も購入できます。
何より、スマホをうまく使えば、盗聴器すら必要なく、盗聴行為が可能なのです。
▼ モラル崩壊 ストーカーは増加
ライフスタイルが変化し、人々のメンタル面に大きく作用している……
長年人間観察をしてきた私が、肌で感じていることです。
弱者をいじめる動画をアップして、注目を浴びようとした事件。
一昔前では信じられない事件が、次々現れています。
年々社会のモラルは崩壊し、この先どうなるかもわかりません。
今後ストーカーは確実に増えていく。
探偵としての個人的な意見です。
その理由は、
ストーカーは、他人の気持ちなんてお構いなしに、自分の欲求だけをぶつける精神的な未熟さが根本原因です。
精神的に未成熟な人が増えれば、ストーカーもまた増加していくでしょう。
▼ 盗聴・盗撮 2つのパターン
盗聴の方法は大きく分けて2つです。
盗撮の方法も同様です。
- Wi-Fiで飛ばせるカメラを設置。それを遠くから見る
- 自動録画機器を設置。回収してあとで見る
キモになるのは、電波を飛ばすかどうか。
盗聴の電波も盗撮のWi-Fiも、常時何かを発信している状態ですから、検知するのは難しくありません。
問題はそれ以外。
ことです。▼ 機械には 見えないモノ
電波は目に見えません。そのかわり機械はそれを鋭敏にとらえます。
高性能の機械を持っていれば、肉眼では見えない電波のほうが、かえって簡単に見つけられるほどです。
でも逆に言えば、「電波を検知できない = 機械にとっては見えない」こと。
電波が検知できないパターンには2つあります。
電波を出さない盗聴・盗撮
定番の手口が、ボイスレコーダーによる盗聴です。
室内にレコーダーを設置して、あとで回収。じっくり聞く……
原始的な手段ですが、機械の検知の目からは、完全に逃れられてしまいます。
電波を発しない記録装置は、基本的には検知不能。
その性質を利用すれば、バレにくい様々な盗聴・盗撮の手口が可能になります。
特殊な電波
電波の中でも、デジタル電波は、簡単には検知できません。
その代表的なものが……スマホです。
発見が困難な盗聴の一つなのです。
……素人っぽい盗聴手段ですが、じつは▼ デジタルはアナログで駆逐!
結論から言うと、発見機だけでは、盗聴・盗撮を完全に検知することは不可能です。
ではどうやって、検知不能の盗聴・盗撮器を発見・除去するか。
けっきょく、そこに存在するモノを探す一番の方法は、目で見て、手で触れて、地道に探すこと。
アナログ検査だけが、デジタル違法機器を完全に除去できます。
手と目という、昔ながらの物理的手段こそが、完璧に盗聴・盗撮器を駆逐できるのです。
デジタルの天敵は、アナログなのです。
▼ ついに 高齢者がターゲットに
高齢者を狙った強盗事件が、連続発生しています。
いつかこういう事態になるだろうと、以前から危機感はありました。
日本の高齢者はタンス預金がたいへん多く、そのわりにセキュリティ意識も、防犯装置も、穴だらけだからです。
それでも社会が一応平穏だったのは、ひとえにモラル重視の優しい国民性ゆえ。
でも、それが崩壊しつつあります。
今後は、自分の身は自分で守る強い意識と知恵が必要になるでしょう。
とはいえ、情報化を身に着けている若い犯罪者に対抗するには、自分の力だけでは限界があります。
だからこそ、お金で情報や安全を買うという意識変革が、重要なのです。
▼ じつは手がかかる 防犯カメラ
盗聴器が通販で買えるように、防犯装置も簡単に手に入る時代です。
家庭用ネットワークカメラも、一般に浸透しています。
しかし、それらを本当に使いこなすのは、容易ではありません。
普通に暮らしている人は、コッソリ何かを設置したり撮影したりに、そもそも慣れていないからです。
そして、設置や録画より、本当に大変なのがメンテナンス。
我々探偵も、業務で隠しカメラを使うからよくわかります。
防犯カメラはその性質上、一分一秒ごとにデータが蓄積されていきます。
その無限に蓄積されていくデータを、正常に管理せねばなりません。
また、電源が常時供給されているか。データを記録するメディアは問題なく作動しているか。
無線式であれば、電波は接続状態をキープしているか。
これらを常にメンテナンスしなければならないのです。
Wi-Fiなどの電波は、簡単に途切れます。また機器の温度管理も無視できません。
原因はどうあれ、せっかく設置したカメラも、肝心なときに作動せず、使い物にならないことが、本当によくあるのです。
▼ ネットワークカメラ 失敗例2つ
依頼人さまから良く聞く代表的なネットワークカメラに『アトムテック株式会社(ATOM tech Inc.)』の【ATOM Cam2】があります。
手に入れやすく、安価で、比較的動作も安定しているので、最初の一台として私もオススメです。
とはいえ、やはり購入しただけで、使いこなせていない方も多いです。
失敗のパターンは、だいたい以下の2つ。
① 意識しすぎてバレバレ
防犯カメラですから、映っていないと意味がありません。
だから確実に映るようにと、目立つ場所に置いてしまうパターンです。
監視カメラは、設置を誇示することで抑止力が見込めます。
しかし、個人用ネットワークカメラ程度だと、簡単に無力化されますから、抑止力には限度があります。
モーションセンサによる自動録画も、じつはあまり当てにはなりません。
② 工夫しすぎて 映らず
意外に多いのがこのパターン。侵入者にバレないようにと、変な場所に仕掛けたり、妙なカモフラージュをしてしまう人が多いです。
その結果、
けっきょく無意味になりがちです。
探偵ですら、偽装にはセンスが出ます。一般の方が上手にできなくても無理はありません。
▼ ネットワークカメラの 上手な使いかた
写真はATOM Cam2の素の状態。鮮やかなホワイトで、生活空間ではかなり目立ちます。
おまけにレンズというのは、イヤでも人間の注意を引きますから、このまま設置しても、隠しカメラとしては使えません。
かといって塗装は工作に慣れた人じゃないと失敗する可能性大です。
レンズや端子部にちょっと塗料が着くだけで、使用不能になったりもします。
塗装でなく テープを貼る
そこで、このようなテープを貼るだけでも、バレにくさは格段に変わります。
工作にまったく慣れていない人や、高齢者の方でもすぐにできます。
ちなみにこの偽装は、私が依頼人さまのご自宅で手早くやりました。
所要時間は20分程度。材料費は数百円。応急的なものなので、作業料はサービスです。
入口に向け 直線的に設置
これら簡便な偽装でも、ある程度離れたらバレなくなります。
あとは自信を持って、確実に映る角度と距離にて設置します。
オススメは、侵入者の移動経路に対し、直線的にカメラを向けること。
侵入者の視界に入るのをおそれ、平行に設置する人が多いですが、それだと横顔が一瞬しか映りません。
侵入者の移動を正面から撮るよう意識して設置することがコツです。
また、世界中の防犯カメラのほぼすべてが高い位置にあることから、自分で設置するのも、つい高い場所を選びがちです。
しかし、胸元より上は、とたんにバレやすくなります。
オススメは、ヒザくらいの高さ。
この位置にカメラがあるという発想に、人は慣れていません。
記念写真を撮るとき、屈みこんで撮る人はまず居ないことからも、それがわかると思います。
その他の業務
★ 探偵 = なんでも屋?
今から20年以上前。探偵は『なんでも屋』でした。
示談交渉、債権回収は言うにおよばず。
乗っ取り・地上げ・企業恐喝と、お金になりそうなことなら、なんでも首を突っ込んでいました。(まあ事件屋です)
今でも探偵の社会的地位が低いのは、この限りなくブラックに近い、グレーの時代の名残です。
(年配の弁護士には、探偵・興信所を、蛇蝎のごとく嫌う人も居ます)
バブル崩壞、規制の強化、時代の淘汰で、事件屋探偵も、少しずつ減るか、大物フィクサーに成り上がって、社会の闇に消えていきます。
★ いにしえ探偵の ドン引き調査
古い探偵も浮気調査はしていました。他にやる業者もなく、カネにもなったからです。
しかし、GPSなんて無い時代。その調査手法ときたら、想像を絶するものばかり。
以下、すべてじっさいに私が聞いた武勇伝です。
★ 【行動調査専門探偵】の誕生
少し時代が進むと、メロディを電波で飛ばす【車両追跡装置】が登場。
こんなムチャクチャな行動調査は、さすがに無くなりました。
それでも、マトモに行動調査のできない探偵がほとんどでした。
長年、ガラの悪さと押しの強さで仕事をしていたのだから、無理もありません。
私が「行動調査専門探偵」として売り出したのは、そんなときでした。
今から16年くらい前でしょうか。
業界のベテランからは、「浮気調査専門探偵なんて100%ツブれるぜ」と予言されました。
探偵は、なんでもやらないと食っていけない……それが業界の常識だったからです。
★ 行動調査専門探偵は もう古い
結果は真逆でした。
私は、福岡でもレアな行動調査専門探偵として、数々の依頼を成功させることで、裏稼業をしなくても食べてこられたのです。
しかし、時代はさらに進み、今やどの探偵も「行動調査専門。浮気調査のスペシャリスト!」と名乗るようになりました。(GPSの進化のせいでしょう)
だからこそ、「行動調査専門探偵」はもう古い。
これからは、なんでもやることが、探偵の生きる道。探偵もりは、そう考えています。
★ AIの進化と探偵業
GPSが無かった時代。行動調査で、探偵がどれだけムチャしてたかを見れば、今の探偵は、ずいぶんレベルが上がったと思われるかもしれません。
でもじっさいは、探偵のレベルはたいして上がっていません。
言い方を変えるなら、一般人との差が、それほど無くなっています。
GPSが進化しすぎて、そして一般普及しすぎて、誰が使っても同じことができるからです。
では、一般人には難しい調査……すなわちGPSがまったく使えない調査はどうか?
そういう調査は、できない探偵、引き受けない探偵がたくさん居る……という有様です。
多くの調査員が、便利な機材に頼りすぎて、個人技能としての尾行術を身につけていないせいです。
「AIの進化で無くなる仕事」があるそうです。
AIの目標は「誰にでも一定以上のことができるようになること」
絵を描く、音楽を作る、文章を書く、翻訳、プログラミング。
才能や経験がなくても、AIを使えばそれらが可能になる。そしてその進化は、おそろしく速い……。
探偵業務もまた、誰でもできることはAIがやってしまい、仕事として成り立たなくなるでしょう。
では、これからの探偵は、なにをやっていくべきか?
★ これからの探偵は 人間力を武器に
いにしえの探偵たちは、なんでもやりました。そこに、ヒントがあると私は考えます。
たしかに、非合法でムチャばかり……でもそこには、「一般人には決してマネできない」という、確かなニーズがありました。
言ってみれば、したたかな人間力こそが売り物だったのです。
もちろん、だからと言って、非合法やムチャをウリにするのは、ナンセンス。
私が言いたいのは、機械や、機械を使うだけの探偵にはできないことに、次の時代のニーズがあるということ。
じゃあそのニーズっていったいなにか?
……それを、考える力、聞く力、そして依頼人さまに伝える力が、新しい人間力の第一歩となるでしょう。
引き受けられない調査
「別れさせ屋」や「ストーカーの手伝い」「差別調査」「示談代行」「拉致・監禁の幇助」など、公序良俗に反する調査、違法な行為、弁護士法に抵触する依頼などはお断りします。