専門職交流会を企画・実施
先日、個人的に知り合った専門職の方々に声をかけ、交流会を企画しました。
探偵が交流会? それも異業種と?
そう思われそうですが、
これからの探偵は、狭く暗い職業的密室から、正しい方向性で表に出ていくべき
……と考えています。(正しくない方向で出たがりの探偵も多いですが)
私が行政書士という資格を持つ関係上、日ごろは士業の交流会が多いのですが、今回はそのワクから広げ、
地元・福岡で活躍する40代前後の、ポジティブな活力ある専門職
をテーマに声をかけました。
参加メンバーは、不動産鑑定士、中小企業診断士という士業でもレアな部類から、
ジムインストラクター、市議会議員、医師、とじつにさまざま。バラエティに富む面々でした。
ここで強く断っておきます。
すべて探偵・森が、個人的な付き合いやツテで声をかけ、参加して頂いた方々です。
依頼人でも、調査対象者でもありません。当方の探偵業務とは一切関わりありません。
私立探偵もまた特殊な職業。そこに関心を持って、会合に参加してくれました。
交わされた会話も、それぞれの職業的部外秘には一切触れず、
「どうしてその道を選んだのか」
「日々の雑感」
「(話せる範囲で)ざっくりした業務の内容」
そして「今後の展望」
と、無難といえば無難な内容ばかり。(それでも充分過ぎるほど楽しく刺激的でしたが)
それぞれの専門職の簡単な説明と共に、雑感を記したいと思います。
不動産鑑定士
今回の最年少が、30代前半の不動産鑑定士さんでした。
士業はみんな難解な国家資格ですが、不動産鑑定士はとくに困難。
そもそも日本に8000人程度しかおらず、福岡でも数えるほどというレアな存在です。
業界の平均年齢が高めなこともあり、まだ30代前半のこの先生は、控えめに言っても業界の明日を担う若きホープ。
クライアントは公的機関や企業がほとんどなので、もっぱら個人の依頼を受ける私立探偵とは、あらゆる意味で対局にある職業の一つです。
扱っているのも億単位のお金が動く、スケールのデカいビジネス。
探偵の仕事だって充分過ぎるほど刺激的で面白いんですが、私も男。そんなビッグビジネスに、憧れに近い感情を持つのも否定できません。
(向こうは向こうで、まるでドラマのような生き方をする探偵に憧れる、と話していました。どっちもどっちですね)
中小企業診断士
10士業の中では比較的知名度が低いですが、顧客の大部分が企業経営者であり、絶対数として限られた存在なことを考慮するなら、それも納得です。
権威ある研究機関によると、『人工知能やロボットによる代替可能性が低い職業100種の一つ』なのだそう。
ようは、AIから奪われない仕事ということです。
今回参加して頂いた先生は40代前半で、ユニークな経歴と人生経験を持っており、人間力の高さは折り紙付き。
私は、めったに他人の人間力を評価しないんですが(逆は多いです)、そんな探偵から見ても、高いコミュ力を有する人物です。
おそらく、中小企業診断士でなく、どんな職種であっても、十二分にこなせることでしょう。女性にもモテそうです。
内科医
医師は探偵にとって、依頼人にも調査対象者にもなり得る存在です。
もり探偵事務所も、(個人探偵にしては)医療業界に関わる仕事を数多く手がけました。
看護師との不倫、派閥争い、クリニックに対する嫌がらせ対策、院内の盗聴・盗撮検査、スタッフの素行調査……と、その依頼内容は多岐に渡ります。
今回参加していただいたのは、40代半ばの開業内科医さんで、そんなドロドロした話とは無縁に見える、穏やかな人物です。
「どうして内科医の道に?」という、私の月並みな質問にも、興味深い回答をしてくれました。
ふだんは依頼人の話をじっくり聞き、相談に乗るのが日常の私も、患者目線で医師の前に立つと、その言動や物腰、聞く姿勢に、学ぶことが多いです。
そーいや話は飛びますが、会ったことのない私の祖父は、どこぞの医大を首席で卒業した医師だったそうです。
(祖母から何度聞かされたことか)
その話が真実かどうか……探偵になった今の私が本気で調べれば、裏取りは可能でしょう。
ですが、ちょっとドヤっとできる持ちネタとして、そのままにしておこうと思っています。
市議
私立探偵と政治家は、究極的に対局の存在と思っています。
私は、政治というものに、興味も関心もまったくありません。
だから、様々な経験をしてきた私も、市議と酒を飲む機会は初めてでした。
政治には関心がなくとも、職業としての市議と、そのパーソナリティには興味を持ったため、声をかけた次第です。
印象としては、理想と現実のバランス感覚を持った人物……と感じました。
現実的に行動を起こすには、思考も現実的でないと話にならないんですが、あまりそれが過ぎると、魅力に欠ける人間になります。
(人気投票がモノを言う職種では致命的ですね)
が、理想しか見ていないと、今度は危なっかしくて仕方ありません。
その点、今回話した市議は、自分が進む方向を見定めた上で、それに拘泥しない柔軟性も合わせ持っているよう思えました。
とくに私が好感を持ったのは、「自分には(まだ)青臭い部分がある」と少し照れながら話していたところ。
政治家にとって、青臭さというのは、別の言葉に置き換えられます。信念です。
なんだかんだ言ったって、ひとは、信念を持つ人間に惹かれ、導かれるもの。
間違いありません。探偵として断言します。
ジムインストラクター
今回の交流会の目玉でした。
士業は社交的な人種が多いので、どんなに珍しい( そして高難度なブランド)資格であっても、知り合ったり飲んだりは、それほど難しくありません。
けれども、
業歴20年以上。プロのアスリートを何人も育成した、モノホンのプロインストラクター
……なんて人物には、なかなか知り合えるものではありません。
個人的なツテにより、今回参加してもらいました。
インストラクターというのは、基本的にジムトレーニングをコーチングしてくれる職業です。
その範囲は広範で、バイトに毛が生えたようなトレーナーも居れば、プロのアスリートに信頼され、様々なマネジメントまで手がける本格派まで、ピンキリ。
その点、この参加者は、本物中の本物と言えます。
おまけに著作はすでに5冊、SNSのフォロワーは8万人以上と、すごい属性付きです。
将来の展望
せっかくの機会なので、それぞれの参加者に、将来的な展望を尋ねました。
(40代というちょうど良い時期でもあります)
それぞれ、何かしら方向性を見定めた展望を持っていました。
そして、それが口だけでなく、本当に実現できそうなすごいメンバーです。
私も、探偵としての展望を考える良い機会となりました。
ふだんは、目の前の依頼を成功させるという、短期的な目標に集中せざるを得なく、なかなか先のことまで考える機会はありません。
探偵としての私の展望……
2つ思いつきました。
ひとつめ……
有能な人材を自ら集め、企業や公的機関からのニーズにも応えられ得る、信用ある調査チームを作ること。
ふたつめ……
探偵業界の負のイメージを一新し、職業としての探偵の地位向上のためのシンボルになること。
どちらを選んでも、現場の一線からは退かねばなりません。(表舞台で顔が売れてしまっては、秘密裏の仕事はできません)
現役の探偵を引退する覚悟が必要となります。
むろんこのまま、達成率と成功率トップクラスの私立探偵として、(フィジカル的に可能な限り)業務をまっとうする選択もあります。
どれが良いのか……まだ分かりません。
生涯現役で居たい気持ちがもっとも強いです。
ですが、今回のような集まりを自ら企画して上手くいくと、
ひとを集め、繋ぎ、シンボリックな活動をする……そういう方向性も悪くないかな、と考えます。
「探偵であれば誰でも同じことできた」
……というワケでもないからです。
最後にもうひとつ裏話
じつは探偵は、幹事にはまったく向いていない職業です。
唐突な相談や緊急出動がポンポン入り、スケジュールの調整がとても難しいのがその理由。
せっかくイベントを企画しても、その実施日と「証拠を取る絶好のチャンス」が被ってしまったら……
参加者ならともかく、幹事自らがドタキャンするのもねえ……。
交流会実施の責任と、現場で結果を出す責任の板挟み。
そんなわけで、本当言うと、探偵に幹事は向かないのです。