ダメ探偵

【3つの柱】最近のスマホカメラは超強力な撮影機材

みなさんは、探偵といえばプロ仕様のすごいカメラを使っている……と思われているかもしれません。

それも間違いではありませんが、だからといって、スマホのカメラを使わないわけではありません。

「え? プロの探偵なのに、スマホカメラなんて、素人くさいもの使うの!?」

プロだからこそ、スマホのカメラを使うのです。今回は、そのお話です。

 

特別なカメラだけが探偵の機材ではない

探偵業界の中の人でも、プロ意識が強い人は

「我々プロの探偵が、スマホのカメラなんか使っていては、素人に笑われる!」と断言します。

たしかに、普通の人と同じことしかしないのであれば、プロを名乗り、安くはない料金をもらう資格はないでしょう。

(そういう発言をする探偵は、じっさい調査機器に強く、すごい機材をそろえてもいます)

 

しかし、私の考えはもう少し柔軟です。

スマホも立派な……というより、もはやメイン機材のひとつと言っても、過言じゃないと思っています。

プロらしく特別なことをするのが探偵なら、日常にまぎれ、ふつうの人と同じことをするのも、探偵には必要だからです。

 

スマホカメラなんか使っていたら探偵失格?

スマホなんて、今やハトやスズメくらい珍しくありません。

おまけに、どんな場所でもみんなバシャバシャ写真を撮りますから、秘匿性においてこれに勝るカメラはないと断言します。

どうしてスマホが調査機器としては素人くさいのか。

撮った写真のクオリティに難があるからです。

いや、この記事の結論からすると「難があった」という過去形です。

 

スマホによる証拠撮影の欠点は

これはもう、はっきりしています。

ズームがきかず、暗いところに弱い

……という欠点です。

 

だから、一般人が証拠撮影をしようと思っても、

米粒みたいに小さい (望遠がきかないため)

ピンボケ (暗いとシャッタースピードが遅くなりボケやすい)

どちらかになってしまっていたわけです。

 

ズームがきかない、暗いところに弱い……は 過去のお話

逆を言えば、ズームがきき、暗所に強くさえなれば、スマホは証拠撮影カメラとして、弱点がなくなります。

そして、現時点で、ズームもきいて暗所に強いという、スーパースマホカメラを搭載した機種は、続々と登場しているのです。

さらにおそろしいことに、「望遠」「暗所撮影」だけでなく、もうひとつの能力が備えられました。

AIです。

 

AIが中からカメラを変えた

この発想は、日本が世界に誇った優秀なカメラメーカー (NIKON や SONY) にはないアプローチでした。

それら優秀なカメラメーカーは、より明るく、望遠がきき、性能のいいレンズの開発という「ハード的アプローチ」でカメラの性能を追求してきました。

それは、たしかに世界に誇る技術でした。

(長年、SONY製品を調査の相棒にしてきた私が断言します)

 

しかし、スマホカメラはまったく別の発想から進化しました。

撮影した画像をAIが解析・加工し、もっとも「人間がいいデキだと感じる」画像に補正するという「ソフト的アプローチ」を実現させたのです。

そして、この進化は、そのまま探偵の調査に活かされます。

 

ソフト的アプローチ

どんなに小型化の技術が進んでも、人間の手のひらのサイズは変わりません。

感覚的に「手に持って扱える端末の大きさ」にはどうしても限界があり、この制限が、搭載されるカメラのハード的限界だったわけです。

そこでスマホメーカーは、別のアプローチを考えました。

ハード(レンズ)でいい写真を撮るのに限界があるのなら、

ソフト(プログラム)でその写真をキレイに見せればいい。

 

そのための複雑な工程を、進化したAIにやらせるわけです。

こんな発想、昔からはちょっと考えられません。

 

写真を成立させるのは「光」と「ピント」

けっきょくのところ、写真は、「」と「ピント」です。

そのバランスによって、成立しています。

次に来るのが「構図

それから、「被写体」そのものの選択です。

 

この「光」と「ピント」を自在に扱えるのがプロのカメラマンでした。

(ちなみに、探偵もある意味ではプロのカメラマンなんですが、構図とピントだけに特化しています)

「構図」と「被写体」はセンスですが、「光」と「ピント」はスキルです。

スキルは経験によって磨かれます。(センスはダメですが)

だから、ある程度経験を積めば、「光」と「ピント」をしっかりと押さえた、それなりの見栄えの写真は撮れます。

 

しかし、スマホに搭載されたAIは、「光」と「ピント」を、熟練レベルでこなします。

誰が撮った写真でも、まるでハイ・アマチュアレベルの完成度に見せてしまうのです。

 

スマホカメラの三つの柱

現在のハイエンド・スマホのカメラは……

 

【極限まで追求されたハード】 + 【セミプロレベルの写真技術AI】 + 【みんなが使う目立たなさ】

 

……という強力な三本の柱を備えているのです。

 

この三本の柱は、我々プロの探偵にも恩恵をもたらしました。

まったく怪しまれないのに、暗さに強く、ズームもきき、AIが補正までしてくれる……

かつてないほど、強力な調査機材なのです。

その反面、ここまで性能がよくなりすぎると、一般人が使ってもそれなりの写真が撮れてしまうわけで……

それは、我々探偵の仕事が奪われることを意味しているかもしれません。

 

素人でもスマホで証拠撮影ができる時代

かつては、一般人が探偵に頼まず、なんとか自分で調査しようとスマホを駆使しても、うまくいきませんでした。

ズームがきかなかったり、暗くてボケたりで、決定的証拠とは、まるで言えない写真しか撮れなかったからです。

(私自身、何度もそんな失敗写真を見ました)

 

しかし、今のスマホであれば、使いようによっては一般人でも「決定的瞬間」を撮ることが可能です。

こんな時代が来るなんて。

 

私がソニーのカメラ片手に、探偵を始めた2000年からは、とても想像出来ません……。

 

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