雨と探偵
私たち探偵は天候に左右されない仕事の一つです。
例えば、聞き込みや人探し。
豪雨時は避けることもありますが、あえて雨天時に実施すると良い結果に結びつくこともあります。
訪問先が「在宅」である可能性が上がりますし、雨の日は落ち着いて会話ができるからか、聞き込みで良い結果が出ることが多い気がします。
かと言って、雨天時に住宅街を聞き込みでしらみつぶしに回るのはそれなりに大変で、効率も落ちます。
雨の日だと、他人と話すのが億劫でインターホーンを鳴らしても居留守を使う人も居るでしょう。
雨だから止めよう、晴れだからやろう、というものでも無く、けっきょくは「晴れの日は晴れの、雨の日は雨のやり方」で実施するしかないのです。
雨の日の行動調査
では雨の日の行動調査はどうか。
良い点もあれば悪い点もあり、一長一短です。
張り込みは、どちらかと言うとやり易くなる感覚です。
人々の注意力や警戒心が散漫になり、視界も悪くなるぶん、あまり人目を引かないからです。
車両追跡も、若干ですがやり易くなります。
もともとの視界の悪さに加えて、バックミラーに水滴がつき、対象者が後ろを気にしなくなるからです。
雨の日ならではの苦労もいっぱい
雨天時ならではの苦労もたくさんあります。
「視界が悪くなる= 探偵にとっても普段以上に注意力が必要」だからです。
車窓やカメラのレンズに水滴が付着すると、ピントが合いづらくなり、撮影にも支障をきたします。
また、雨天時は車内の窓が曇りやすく、それもまた調査の邪魔になります。
他にも……
バイクによる追跡が難しくなる。
傘で手が塞がる。
立ち張り(車を使わずに立って張り込む事)が怪しい。
道路がいつも以上に混むなどなど……
一般の人が気づかない雨の日の探偵ならではの苦労が、いっぱいあります。
個人的に、雨の日の行動調査でいちばん嫌なのは、対象者が傘をさすことで、顔の確認が取れないことでしょうか。
初日の現場で、初めて見る対象者……なのに、傘で顔が隠れてまったく見えないというケースがあります。
そんな時はどうするか。
接近して、じかに顔をのぞきこまないといけません。
いくら雨の日は注意力が散漫になるとはいっても、近づいて露骨に顔を確認するような動きは、相手の注意をひきます。
そんなわけで、雨の日の調査には、良い点もあれば悪い点もあります。
けっきょくのところ、探偵は、天候に気分を左右されず、淡々と現場をこなしていくしかないのです。