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弁護士さんとのおつきあい

優秀な探偵がちゃんと証拠を確保すれば、必ずしも弁護士さんにお願いする必要は生じません。

しかし、弁護士に依頼することには、さまざまなメリットがあります。

弁護士さんは法律のプロのみならず、交渉や駆け引きの専門家でもあり、また高難度の国家資格者というネームバリューがあるからです。

 

相手にナメられない、というだけでも、交渉ではものすごく優位に立てるでしょう。

とはいえ、弁護士さんへの相談や依頼は、敷居が高いと感じるはずです。

そこで、依頼人さまが少しでもリラックスして弁護士さんとおつきあいできるよう、私の知る弁護士さんの特徴やちょっとした裏話をご紹介します。

 

(なお、探偵もりが個人的に付き合いのある弁護士や、各弁護士が公開しているブログがソースであり、すべての弁護士さんにあてはまる話ではないことはお断りしておきます)

 

弁護士さんはとても多忙です

もっとも注意する点だと個人的には思っています。

 

電話予約の注意点

私のところでもありがちなのですが、お電話を受けたとき、「今日、明日にでもすぐ面談したい」と言われることが多いです。

探偵はフットワークが命なので、他の仕事に干渉しない限り、要望には応えるようにしています。

が、弁護士さんは多忙で、いきなり直近の面会予約をとれることは、ほとんどありません。

だから、ある程度余裕をもって電話したほうがいいでしょう。

 

とりあえず電話をかけて用件を伝え、それから会う日取りを決める方が、双方に都合がいいはず。

その際は、「弁護士さんは、自分の案件にだけ関わっているわけではない」という配慮が必要です。

弁護士側の空いている日時をいくつか挙げてもらい、その中から都合のいい日にちを予約。

そして出来るだけキャンセルは避け、その日は必ず時間を作るようにしましょう。

 

面談の注意点

いよいよ面談した際、思った以上に話が長くなり、相談時間を延長したい……

そんなこともあるかと思います。

しかし、面談時間を延長したいと希望しても、弁護士さんのその後のスケジュールが詰まっていて、ムリなこともあります。

仕方なく、すぐに次の予約を取ろうにも、またしばらく間が空いてしまう……

そんなケースも多いです。

一回一回の面会を大事にし、時間を有効に使うためにも、資料や相談内容はきちんとまとめていくことが望ましいです。

 

具体的には……

「ノートなどに時系列を記すこと」

「自分がどうしたいか、要望をはっきり決めておくこと」

 

弁護士さんの知識はタダではありません

注意するべき二点めです。

最初の相談料を支払い (一般的には30分/5000円)面談した相談者が、弁護士さんと個人的なパイプができたと思いこみ、以降は無料で相談できるかのように気軽に電話してくるケースがあると聞きます。

弁護士さんの時間や知識は、決してタダではありません。

猛勉強して、最高難度の試験をパスして、国家資格を取得し、その後は日々の研鑽と実務によって経験を積む……それが弁護士です。

その代価として、一時間拘束したら約10000円という相談料が発生するわけです。

 

一度お金を払ったら、あとは無料で話を聞いてもらえる。

いつでも法的なアドバイスをもらえる。

……そんな風に考えるべきではありません。プロの時間は貴重なものなのです。

 

弁護士さんも人間です

常人よりも優れた頭脳と、冷静に交渉できる胆力を兼ねそろえた弁護士さん。

ですが、生身の人間です。感情や心がちゃんとあり、腹も立てるし、イラ立ちや嫌悪感を持つことだってあります。

プロですから、仕事に私情は挟まないとしても、プラスアルファとして、損得勘定を超えた仕事をするかどうかに、感情が作用しないとは言えないでしょう。

わかりやすく言うと、「ムカつく依頼人」「勝手な依頼人」「個人的に嫌悪感を持った依頼人」に対しては、もらう金額以上の仕事はしないということ。

 

これは、逆に言えば、

「この依頼人のためなら頑張りたい」「このひとは助けてあげたい、力になりたい」

……と思う依頼人に対しては、金額以上に親身になってくれることでもあります。

 

じつは探偵も同じです。

嘘をついたり、分からず屋だったり、自分の都合や利益ばかりを考えたり、ひとの話を聞こうとしない依頼人……

こういう人の仕事は、手こそ抜きませんが、料金以上のサービスをしようとは思いません。そんな義務もありません。

 

探偵も弁護士さんも、個人事業主で、フリーランス。

公務員みたいに税金で働いていませんから、自分の好きな仕事を、好きなようにやる権利を有します。

そういう意味では、企業勤めのサラリーマンより、個人的な感情で仕事をする余地が許されており、より人間味があると言えるでしょう。

 

好感が持てる相手、信頼関係がきっちり結べる相手と、気持ちよく仕事をしたいと願っているのです。

そして、そういう依頼人の案件なら、時には線引きを超えて頑張ろうという気にもなるかもしれません。

 

弁護士さんで居るのにはお金がかかります

弁護士さんは、なるのもすごく大変ですが、続けるのも大変です。

日本の弁護士は、監督事務団体である『弁護士会』に所属し、なおかつその弁護士会の連合組織である『日本弁護士連合会』に登録。

決まった会費を払わねばなりません。

 

弁護士さんで居続けるための年会費は、合計すると実に『50万~100万』にもなります。

月換算で『約4~8万』と、一般人の感覚からするとけっこうな金額です。

金額自体もさることながら、幅があることにも注目です。

 

どうして金額にこのような差が生じるか。

所属する都道府県の弁護士会によって、登録料や会費がまったく異なるからです。

最安値は愛知県の『498000円』、最高額は山口県(岩国支部)の『1178400円』

 

ちなみに、もり探偵事務所のある福岡県が『716400円』となっています (登録五年目の金額)

最安と最高とで、約68万円もの開きがあるわけです。

月換算で5万6000円。これは一般的にはあまり知られていません。

 

どうしてこんなにも差か開くのか。

弁護士会がそれぞれ独立した自治団体ということもありますし、また弁護士の登録数にも関係しています。

日本の弁護士さんのほとんどが、東京、大阪、愛知の大都市に集中していて、いわゆる地方ほどその登録数は少ないようです。

 

少し前に、【島根の弁護士】(Wikipedia)という漫画とドラマがありました。

日本で一番弁護士の数が少ない島根県を舞台にした作品です。その島根県も年会費は『102万1400円』と高額です。

 

もちろん、弁護士さんが負担しているのは所属団体の会費だけではありません。

事務所の維持費や人件費、その他もろもろの経費も必要です。

つまり弁護士さんというのは「なるのも狭き門」「居続けるのも厳しい生存競争」という、選ばれた人たちなのです。

 

まとめ

民事の問題においては、探偵が充分な証拠を確保すれば、有利に交渉や請求を行えます。

相手がゴネたりしなければ、話し合いも請求も問題なく進められるでしょう。

しかし、世の中には、とにかくゴネる人が居ます。

恐喝まがいの言動や、コワモテで押してくる面倒くさいひとが居ます。

「慰謝料 請求されない方法」とか「示談 ゴネる」とか「浮気 誤魔かす方法」などで検索し、

付け焼き刃の知識を身につけ、交渉を有利にしようとする、往生際の悪いひとも居ます。

 

そういう面倒くさいひと相手に、自分で交渉して不快な思いをするくらいなら、弁護士にお願いした方が、トータルで見たら損をしないこともあります。

弁護士さんは、「ネットで理論武装しただけの人」「ただ迫力で押してくるだけの人」とは、根本的に異次元の存在。

そんな頼れる弁護士とは、ぜひ上手にお付き合いして欲しいものです。

 

 

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