120年ぶりの民法改正と慰謝料について
男女関係や離婚の問題を抱える依頼人さまにとって、大きく関わる法律が民法です。
この民法が2020年に、およそ120年ぶりにもなる大改正を迎えます。
もともと現行の民法は明治時代に制定されたものでした。今の時代にそぐわないものも多く、どちらかと言えば、法律よりも判例(実際に裁判所で下された判断)や一般常識が重視される傾向にありました。今回の改正はそれを見直すのが目的です。
改正する部分は幅広く、ここですべてに触れることは避けます。依頼人さまにとって特に重要な部分が、「浮気証拠の時効」と「慰謝料の請求の期限」についてでしょう。
証拠の有効期限
「浮気証拠」には時効があります。具体的には、浮気された事実を依頼者さまが知った日(浮気したその日ではありません)から三年と、相手が浮気をした日(ラブホテルに行ったり、浮気相手の家に行った日など)から二十年です。
この時効は、慰謝料を請求出来るかに関わる重要な期限でもあります。しかし、意外にも知られていません。特に問題になるのが、「探偵に依頼して結果が出たものの、離婚するかどうかの踏ん切りがつかず、決断を保留した場合」です。
三年というのは長いようで短いです。特に、離婚するかの決断を先延ばしにする状況は、子供の受験・進学などのタイミングであることが多く、慌ただしい日々に追われているうちに気が付けば三年が経過……ということも充分にあり得ます。
話がそれましたが、今回の民法改正で、特に探偵業務に関わるものと思われていた「浮気証拠の時効」と「慰謝料請求の期限に関しての変更点についてです。」
結論だけを述べるなら、従来通り、浮気の証拠の時効は、「浮気されたことを依頼者さまが知ってから三年」「相手が浮気した日から二十年」です。
新しい民法では
新しい民法では「消滅時効」に関する規定が見直されていますが、実務レベルで特に大きな変化はありません。法律の込み入った話になるので詳しい言及は避けます。
時効がもう少し長くなれば依頼人さまにとって有利な変更にはなったのですが、残念ながら三年という微妙な期間のままでした。
とはいえ、三年という期間は短いようで長くもあります。浮気した配偶者がかつての浮気相手と関係を清算し、新しい相手を作るのに充分な時間でもあります。
離婚の決断を保留にするということは、結果が出た報告書を相手に突きつけず、腹の中にしまったままにしておくということです。探偵に調査されたことをまったく気づかない配偶者が、また火遊びをしてしまう可能性は充分あると言えるでしょう。一度でも浮気した相手は、味を占め、嘘に抵抗がなくなり、罪悪感が麻痺していくからです。
探偵の実務から見た 三年の時効
あくまで私の経験の上での話ですが、この三年という時効が依頼人さまにとって不利に働いたことはそれほどありません。
なぜなら、たいていの依頼人さまは、三年も様子を見続けることがやはりできずに、自分を裏切った相手とひとつ屋根の下、のうのうと暮らすことは難しいと感じるからです。
そして、生活や子供のためにそれが出来たとしても、三年も経つ間に、ほぼ新しい次の浮気をするからです。それを証拠として確保すれば、またそこから、あらためて三年の時効になるわけです。また、「浮気されたことを知ってから三年」ですから、「探偵に依頼して調査は実施したものの、結果については報告書を見ていなくて知らなかった」と言ってしまえば、時効までの期間は二十年になります(あくまで非常手段ですが)。
慰謝料は依頼者さまにとっても特に重要な問題です。「このくらいの金額は必ず取れる」という目安もなく、相手や状況次第というデリケートかつわかりにくい部分でもあります。ぜひ、専門家によるアドバイスを受けることをオススメします。
もり探偵事務所では法務相談が可能です
もり探偵事務所の代表・探偵のもりは、街の法律家と呼ばれる国家資格である【行政書士】を所持。
民法や判例も学んでいますので、法務相談が可能です。
また、弁護士法に抵触しない範囲で、離婚の協議や、慰謝料請求、内容証明郵便、養育費支払いの公正証書作成にも対応します。
※必要に応じて、弁護士の紹介も承ります。