探偵3 福岡探偵日誌「親知らずのぶっとい患者がきた! なんてことを書くべきか」

浮気調査ばかりじゃない? 福岡の探偵の日常

いまどき探偵ブログなんて珍しくもありません。

福岡で探偵・調査業を営むご同業も、精力的なペースでブログやTwitterを更新しているようです。

しかし、私にしても、他の同業の探偵たちにしても、なにもブログを書くのが好きでたまらないとかではありません。

むしろ、依頼人様のため、けっこう無理して書いているところがあります。これまでに何度か繰り返しているように、「探偵とSNSはそもそも相性が悪いから」です。

(私も、一見ベラベラと機嫌よく自分のことを書いているように見えるかもしれませんが、これでも相当選んでます)

だから、ほとんどの探偵が、「なにを書けばいいんだ」と頭をひねらせているはずです。

 

探偵はネタの宝庫 (ただし守秘義務アリ)

私たち探偵に、書くネタがないわけではありません。

むしろ、普通のサラリーマンなどに比べて、より波乱万丈の日々を過ごしているぶん、探偵はネタの宝庫です。どんな探偵でも、面白い話や裏話、逸話をタップリ持っています。

しかし困ったことに、「他人が聞いて楽しい話」というのは、おうおうにして、「おいそれと外部に漏らすわけにはいかない話」だったりします。

守秘義務というおなじみのルールもあるし、他人の秘密を扱うのが商売である探偵の職業倫理もあります。依頼人との信頼関係だってあるでしょう。

うまくボカしたり脚色して書くという方法もありますが、この情報化社会、私たちが語るネタの断片と社会に出回っている情報のピースを照合し、結び合わせ、とある事実を特定してしまうようなおそるべきやり手も存在しますから、油断はできないのです。

かといって、頑張って上手なフィクションに加工したとしても、その作業には膨大なエネルギーを必要とするし、そうしたものを書いて公開することの意味がどこまであるのか……という根本的問題にぶち当たります。

そんなわけで今日も探偵は、スマホを片手に、あるいはPCとにらめっこしながら、「……いったい何を書けば」と悩むことになるのです。

 

依頼人様のことは書くべきではない

調査現場そのもの以外で無理に話題を探すとすれば、依頼人様のことを書くしかありません。(「こんな依頼人と会った」「こんな依頼を受けた」など)

「調査」を切り離した我々の世界は、思っている以上に狭いのです。

しかし、この『依頼人様についての話題』というのが、たいへん扱いの難しい代物です。

そこまで深く考えずに、「今日こんな依頼を受けました~」とか「今回の依頼人は〇〇代主婦の方で~」などとSNSで軽く書くような探偵も意外に多いんですが、私は反対です。

先日、歯医者に行きました。

親知らずが見つかり、その歯科の先生に「今度、親知らずを抜くのが得意な専門医が来院するから、そのとき抜くのをオススメします」と言われ、承諾しました。

親知らずの専門医。そんなスゴイ人が居るのならぜひお願いしたいと。

しかし、実際にその先生の手で治療されたものの、私の親知らずは根が非常にぶっとく、丈夫だったため、引っこ抜くのがものすごく大変でした。

得意な専門医ならきっと素晴らしい手際でスパッと抜いてくれる。……そう思ったのに、実際はゴリゴリゴリゴリ悪戦苦闘。

テコを使うようにして必死で力を入れ、私の唇の端を傷つけながら、ようやくようやく抜けたという有様。

ぶっとい親知らずのオーナーである私にも責任の一端があるとはいえ、得意な専門医とはとても思えず、駆け出しの未熟な歯科医のような印象すら受けました。

 

今や誰もが情報発信。だからこそ…

いきなり話が飛びましたが、たとえば、その歯医者の先生が、ブログなりTwitterなんかをやっていたとしましょう。

そして、その日のブログだかTwitterに、

「今日、ぶっとい親知らずの患者が来てたいへんやった!  なにあの根っこ!  メッチャ手が疲れたし意味わからん! 」

……なあんて書いてあったとしたら。

そんなことを書かれた私は、たいへん嫌な気持ちになるでしょう。だから、私は依頼人様のことをSNSになんて書きたくはないのです。

 

 

もり探偵事務所は、尾行・証拠撮影を得意とする福岡の私立探偵です。