空梅雨からの大雨。そして、災害級の暑さと、福岡だけでなく全国的にヒドいことになっています。
福岡はどうやら梅雨明けしたような好天……というより酷暑ですが、東北のほうは酷い水害に見舞われているようで、ひと昔前に比べて、異常気象が常態化しています。
探偵は、忍耐こそウリ。暑さ寒さに弱いと仕事になりません。一般人に比べて、ある程度までは暑さに耐えられます。
けれど、今のこの状況だと、無理をすれば本気で熱中症になって、救急車で運ばれかねません。
三年前の夏。私は、炎天下の車内に10時間張り込みました。エンジンをつけずに。
エンジンをつけると、近所の住人に不審者通報され、車を移動しなくちゃいけなくなる……そんな状況だったのです。
当然、スタッフと交代でやりましたが、張り込みだけでなく、ほんの一瞬の判断と撮影が要求される難しい調査だったため、私がメインで実施せざるを得ませんでした。
充電式の扇風機を数台持ち込むのは当然として、大型クーラーボックスに、たっぷりの氷と冷却材を用意し、調査に臨みました。
それでも、日中の車内の温度は、おそらく70度くらいまで上昇。マジで命の危険を感じました。(調査は成功)
昔は、夏の調査は暑くて当たり前。
野外で働く作業員の方たち同様、そこで音を上げても仕方ないものでした。
けれど昨今の、この災害級の暑さは、本気で命の危険があり、ムチャな調査を強行すると、救急搬送され依頼自体がメチャクチャになりかねません。
こんなときこそ、特殊カメラ。
Wi-Fiで映像を飛ばすカメラを設置し、我々は快適な車内や喫茶店で、小粋にお茶を楽しみつつ、ハイテク調査を実施……
とシャレこみたいところですが、ここにも問題があります。
熱暴走です。
ただでさえ、常時撮影状態にしておく設置カメラは、高温になります。Wi-Fiとなると、なおさらです。
長時間撮影用の設置カメラには、リチウムイオン電池が使用されており、そしてこの電池、高性能ながら熱に弱いことで知られています。
そして、探偵の撮影用カメラは、設置する場所を選んでいられません。
なるべく日が当たらない涼しい箇所に……とはわかっていても、まずは対象がしっかり把握できる場所に付けないと意味がありません。
そこが、どうしても直射日光の当たる場所ということもあります。
つまり、夏場の隠しカメラは、非常に高温となり、危険ということです。
さらに、最近の探偵用特殊カメラは、多くの場合中国製です。
俗に中華製と言われるこれらの機材は、安価なわりに性能は悪くなく、日本のメーカーにはない使い勝手もあり、探偵の調査と相性が良い特徴があります。
しかし、大きな欠点として、
このあたりは、ソニーやシャープ、パナソニックといった国内製品の出来の良さを痛感します。
それらジャパニーズメーカーは、それなりの熱対策が施されており、夏場の使用にも比較的耐えられるよう設計されています。
ソニーやシャープやパナソニックに、中華製のようなユニークな探偵カメラを生産・販売して欲しいところですが、さすがにそれは期待できないでしょう。
そんなわけで、災害級の暑さの中、代わりに設置カメラに張り込みをやってもらい、調査員は涼しい場所に避難……
とは思っていても、目を離したスキに、設置カメラが熱暴走。
肝心なときに故障して撮影不可……ということも充分ありえるのです。
それならまだしも、熱によってリチウムバッテリーが破裂・炎上、気づいたら火災騒ぎ……なんてことになったら。
……目も当てられません。廃業の危機です。
そんなことにヤキモキするくらいなら、クーラーボックスに氷と飲み物を詰め込み、カメラ片手に自分で張り込んだほうがいい……
私はそう考え、夏場の調査をなんとか乗り切ります。
おかげで、調査後のビールとメシは、死ぬほど美味い。
この喜びは、炎天下の調査に耐え、成功という結果を出した探偵にしか味わえない満足感でしょう。
それはそれとして、調査完了後の食べ過ぎ飲み過ぎで、体調を壊さないようにせねば……と思います。