【行動調査専門探偵】もり探偵事務所
私が【行動調査専門探偵】を名乗り始めたのは、もう15年以上前のこと。
今でこそ、みんな同じようなことを名乗り、私だけの肩書きではなくなっています。
ですが、業界でこんなことを名乗っている探偵は、当時私だけでした。
行動調査だけに業務を絞らず、あらゆる依頼を取らないと、ビジネスとして成立しない……
それが探偵業界の常識だったからです。
行動調査専門探偵誕生前夜
私が「行動調査専門」「浮気調査のスペシャリスト」を自称するようになったのには、二つの理由があります。
ビジネスの『選択』『集中』『差別化』という『ランチェスター戦略』
……というのはまったくの大ウソ。
ひとつめは、たんに営業上の理由です。
①営業上の理由
探偵業界は、「電話帳広告」に非常に力を入れていた業種です。
【1ページ全面広告】という、もっとも大きなサイズの広告を出すのには、年間【数百万円】という莫大な広告料が必要でした。
それを、タウンページの各エリアそれぞれで契約しますから、数百万どころか数千万円に届く世界です。
それだけの広告費をペイするためには、依頼料金を高く設定せねば、経営が成り立ちません。
だから、そのバカ高い広告費が、そのまま依頼人の負担になってしまう……これが探偵業界の悪習でした。
広告にお金をかけたくなかった私は、いちばん小さなスペースを契約しました。
月額2万円くらい。ささやかな金額です。
これなら、依頼人さまにムダな高額を請求しなくて済むと思ったからです。
↑ 2008年ごろのタウンページ
タウンページの私の担当者は、この手の業界にしては珍しく、親身な営業マンでした。
その、安くて小さなスペースで何がアピールできるか。一緒に考えてくれました。
営業マン「もりさんはどういった調査が得意なんでしょう?」
私「行動調査ですね。バイクを使った尾行には自信があります」
営業マン「なら、【行動調査専門探偵!】なんてどうです? インパクトありますし」
せっかくの提案でしたが、「行動調査専門」なんて決め打ちすることには、抵抗がありました。
私は「万能型」の探偵で、人探しだろうが聞き込みだろうが、幅広く受けていたからです。
②後押しをしてくれた 達人探偵の言葉
その頃、私の友人にひとりのベテラン探偵が居ました。
大手調査会社の調査部・部長という肩書を持つ人物で、とにかく仕事に厳しい人物でした。
「尾行ひとつマトモに出来ないヘボ調査員が多すぎる」
「足手まといと組むくらいなら一人でやった方がいい」
「使えない新人ばかりで、まとめてクビにしてやった」
……つねづね、そんなことを言っていたような人物です。
でも、支社の別の探偵によると、「全国トップクラスの調査員」と呼ばれていたらしく、仕事に厳しいのも納得でした。
ある日の張り込み中の会話
そんなトップクラスのベテランですが、不思議と私とはウマがあい、私は彼の仕事のヘルプに呼ばれたりしていました。
そして、ある日の張込み中。
ベテラン「タウンページ広告どうしました?」
私「担当から【行動調査専門探偵】なんてどうかと勧められまして。……でもねえ」
ベテラン「いいと思いますよ」
私「へ?」
ベテラン「いっそ【尾行・証拠撮影のスペシャリスト】くらい、言っちゃって良いんじゃないですか」
私「……そういうの、自分で言っちゃって良いんですかね」
ベテラン「私が保証します。もりさんの腕はベストですよ」
他人を褒めることなんてまずないと思っていた、その人物から出た一言。
それは、私の背中を押すのに十分な言葉でした。
こうして私は、
「行動調査専門探偵」
「浮気調査のスペシャリスト」
「行動調査ならどこにも負けません!」
などと、自称するにいたったわけです。
探偵広告は過大文句ばかり。調査力の証明はできないけれど
元々、広告の文句なんて、大げさなものです。
「全国尾行コンテスト」なんてありません。
「調査力技能試験」なるものが存在するわけでもありません。
「調査に自信!」だの「浮気調査のスペシャリスト」だの……
それぞれの探偵が、勝手にそう言ってるだけです。
私にしても、じっさいに現場で結果を出してきたという、ささやかな自信があるだけ。
全国に無数にある探偵事務所・興信所。
その中での、もり探偵事務所の調査力レベルなんて、本当は分からないというのが本音です。
でも……
ある意味【行動調査専門探偵】の名付け親だった、タウンページの担当営業マン
私の能力を認めてくれた、大手調査会社のトップ調査員
そして、「もりさんに依頼して正解でした」と言ってくれた、たくさんの依頼人
少なくとも、その人たちに恥じない仕事はしていこう。
自社サイトの、自信満々で、ちょっと恥ずかしいコピーを見るたびに……
私はそう思います。