行動調査専門探偵

私が「行動調査専門探偵」を名乗り始めたのはもう十年以上前のことです。

それは、今でこそ私だけの肩書きではなくなっていますが、当時は業界でこんなことを名乗っている探偵は、私の知る限り居ませんでした。

行動調査だけに業務を絞らず、人探しだろうが盗聴発見だろうがあらゆる依頼を取っていくスタンスではないと、調査業は「ビジネス」として成り立たないと言われていたからです。

 

行動調査専門探偵誕生前夜

そんな中で、私が「専門」や「スペシャリスト」を自称するに至ったのには二つの理由があります。

『選択』『集中』『差別化』という『ランチェスター戦略』……というのはまったく関係ありません。

ひとつめは、営業上の理由です。

 

営業上の理由

探偵業界は元来「電話帳広告」に非常に力を入れていた業種です。

一ページ広告という最も大きなサイズの広告を出すのには、年契約で【数百万円」という莫大な広告料が必要でした。

それを各エリアそれぞれで契約しますから、数百万どころか軽く数千万円に届く世界です。

ペイするためにはどうしても依頼料金を高く設定せねばならず、それがそのまま依頼人の負担に繋がってしまうことになる……これが探偵業界の悪習でした。

その当時、私は電話帳のいちばん小さな広告スペースを契約しました。月額2万円くらいのささやかな金額です。

そのときの担当営業マンは、その限られた広告スペースで何がアピール出来るかを、親身になって一緒に考えてくれました。

「森さんはどういった調査が得意なんでしょう?」

「行動調査ですね。特にバイクを使った尾行には自信があります」

それを聞いた担当者は、

「【行動調査専門探偵】と名乗るのはどうでしょう。インパクトありますし」と提案してきました。

せっかくの提案でしたが、「行動調査専門」だなんて決め打ちして広告を出す事には少なからず抵抗がありました。

探偵になった依頼人」「依頼人の味方」にも書いた通り、私は元々「万能型」の探偵で、人探しだろうが聞き込みだろうが、幅広く仕事を引き受けていたからです。

 

ふたつめの理由

決め手になったのは、とあるベテラン探偵のひと言です。

その探偵は、全国展開する大手調査会社の元・調査員でした。

そこの社員だった頃は、距離を置いていましたが、独立したのをきっかけに私と個人的な付き合いが出来、私たちはお互いの現場を手伝うようになりました。

とにかく仕事に厳しい人物で、

「尾行ひとつマトモに出来ないヘボ調査員が多過ぎる」

「足手まといと組むくらいなら一人でやった方がいい」

「使えない新人ばかりで、まとめてクビにしてやった」

と、常々辛らつな言葉を口にしていました。

大手調査会社時代のころはよく知らなかったんですが、その会社の別の調査員たちと話す機会があり、そのベテランが「全国トップクラスの行動調査員」と呼ばれていたのを初めて知ったのです。

仕事に厳しい言動も納得だな、と思いました。

 

ある日の張り込み中の会話

ある日の張込み中、そのベテラン探偵に私は、

「タウンページの広告に、【行動調査専門探偵】なんてコピーを使おうか考えてます」と率直に相談してみました。

「良いと思いますよ」

返事はごくアッサリしたものでした。何かにつけ毒を吐くこの人物からすれば、拍子抜けでした。

「いっそ、尾行・証拠撮影のスペシャリストくらい言って良いんじゃないですか」

「そういうの、自分で言っちゃって良いんですかね」

私がそう言うと、いつも仏頂面の彼のコワモテが、ふと一瞬緩みました。

「私が保証します。森さんの腕はベストですよ」

他人を褒めることなんてまずないと思っていたその人物から出た一言。それは、私の背中を押すのに十分な言葉でした。

こうして私は、

「行動調査専門探偵」「浮気調査のスペシャリスト」「行動調査ならどこにも負けません!」

などとドヤ顔で自称するに至ったわけです。

 

広告の過大文句

元々、広告の文句なんて大げさで誇張的なものです。

調査に自信があるだの、スペシャリストだの名乗っていても、「全国尾行コンテスト」なんてものがあってそこで結果を出したわけでもありません。どこの探偵も、みんな勝手にそう言ってるだけです。

私にしても、長年、ごまかしのきかない調査の現場で実際に結果を出してきたという、ささやかな自負があるだけです。

そもそも、それぞれの依頼人が、口コミでわざわざ、

「浮気調査を依頼したら完璧な尾行と撮影してくれた」なんて、声を大にしてまわりに言うとは思えません。

福岡に、九州に、全国に無数にある探偵事務所・興信所の中での、もり探偵事務所の立ち位置なんて、実際は分からないというのが本音です。

しかし、

ある意味で行動調査専門探偵の「名付け親」であるタウンページの担当営業マン。

背中を押してくれた本当に「行動調査のスペシャリスト」だった大手のベテラン調査員。

そして、「森さんに依頼して正解でした」と言ってくれたこれまでのたくさんの依頼人

その人達たちに恥じないような仕事をしていこう。

……そう、自社サイトの自信満々でちょっと恥ずかしいコピーを見るたびに、私は思うのです。

 

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