ついに出たLINEの情報流出問題
LINEの個人情報問題が話題になっています。
個人情報に関するトラブルは、世間の関心も高いもの。
ましてや、広く浸透し、いまや電話やメールなみに通信インフラの地位を確立したLINEだけに、利用者が受けた衝撃が大きいのも、うなずけます。
探偵としての私は、LINEには否定的な姿勢でした。業務でも使っていませんでした。
その理由は、はっきりと『セキュリティ的に問題がある』からです。
このセキュリティ的な問題点には二点あり、一つはまさに今回まろびでた、『海外資本ゆえのリスク』
会社……企業というのは、競合相手の会社とは敵同士のようなもの。
けっこうえげつない手を使って争ったりもするんですが、こと日本国内の会社同士であれば、少なくとも国益に反するようなマネ……つまり
しかし、これが海外の会社だと感覚は違ってきます。
それは、米国が中国企業を徹底して締め出したことからも伺えます。
ましてや、今は『無料』『便利さ』『手軽さ』によって浸透させたアプリが、個人のあらゆるデータを、ブラックホールのように吸い続けているのだから。
LINEの問題点。ではもう一つは……
どんなに便利でカジュアルでも、バックが海外企業である以上、油断はできない。
そんな気持ちは、以前からありました。
これが、探偵である私が、LINEに対して抱いていた問題点の一つです。
(有識者はもっと以前から、具体的な言葉で警鐘を鳴らしていたようです)
そしてもう一方は、もう少しミクロな視点。
探偵ならではの危機感と言いましょうか。
LINEは、便利で手軽な『日常使い』ツールですが、いっぽうで我々探偵は、依頼人さまにとって、手軽でも普段使いでもない、言ってみれば『非日常な存在』です。
そんな非日常の私たちと、日常的なツールで連絡をとっていたら、ふとしたことでトラブルに繋がるのでは……と危惧していたわけです。
早い話が『依頼人の旦那さんや奥さんへの探偵バレ』です。
どちらかと言えば、私がLINEに抱いていた危機意識の大部分は、こちらのほうでした。
そんな中で始める『もり探偵事務所のLINE相談サービス』
とはいえ、探偵業界にもLINEはどんどん浸透しているのが現状です。
調査チーム内でのコミュニケーションはもとより、依頼人さまとのやり取りでも、LINEを使いまくっている探偵はけっこう居るでしょう。
私も、依頼人様から「LINEでやり取りできないんですか?」とよく言われていました。
依頼人さまとの業務連絡はもっぱらメールなんですが、もはやEメールをめったに使わないという人も多く、
「ふだん使わないツールを使ったせいで探偵バレする」
……という逆パターンのリスクもなきにしもあらずと、最近は思うようになりました。
そこで、時代の流れや消費者のニーズを踏まえ、遅ればせながらもり探偵事務所でも、このほど『LINE相談窓口』を用意したところでした。
そんな矢先で今回の事件。
嫌がらせのようなタイミングで、頭の片隅にあったリスクが顕在化したかっこうです。
※なお、この記事の初出は2021年4月。現在2023年6月時点では、LINEはまったく問題なく使えています。
もり探偵事務所のLINEサービスは
この事件(2021年時点)の後、役所の一部では、慌ててLINEによる手続きを中止したところも出ました。
LINEに対する世間のイメージも、ずいぶん悪化しました。
しかし、現在そういったトラブルも落ち着き、LINEは便利なツールとして、社会に浸透しています。
けっきょくは、使い方ということでしょう。
LINEの上手な使い方。探偵編
LINEを公式導入しましたが、基本的には連絡手段にのみに限定し、『重要な個人情報』や『プライベート性の強い写真』『調査報告書』など、重要なデータのやり取りは、別のアプリを利用するようにしています。
IT社会において利用者は、便利なツールを無料で使うトークンとして、あらゆるデータを差し出しています。
それらは、たいていの場合、一見して無害な情報です。
(だからこそ、アプリの使用承諾にある長ったらしい説明に対して、よく読まず『承諾します』を押すのです)
しかし、データというのはネットワークですから、(紐付けられるというネット表現は、言い得て妙ですね)いつ、どこで、どういうルートから個人情報が抜かれるかわかりません。
おまけに、無料で便利で使いやすければ、世間がそれを標準にしていくので、いくら抵抗があっても使わないわけにはいかなくなる……
その点が、ツールのおそろしいところです。
となると、あとはいかに上手に賢く使いこなしていくかでしょう。
本来、道具とはそういうものなのですから。