vision

探偵と法律

探偵には資格がありません。

法律をまったく知らなくても開業・営業はできます。

しかし、法律を知らない探偵は、非常に危険です。思わぬところで、依頼人さまに迷惑をかけるかもしれないからです。

今回は、探偵と法律についてお話しましょう。

 

探偵業に関係する法律とは

私の認識では、探偵は法律系の職業です。仕事柄、法律は切っても切り離せません。

とくに関係が深いのは【民法】

そのほか、個人情報保護に関してや、不法侵入、付きまとい、など【迷惑防止条例】でしょうか。

 

大事なのは、探偵だからといって、法律の規制から免除されるわけではないということ。

あくまで業務は、法律の枠内で行わなければいけません。

調査員の中には、勇猛果敢に、法律を飛び越えることを持ち味とする猪突猛進タイプも居ます。

ですが、私が長年見てきたところ、そういうタイプは長続きしません。

 

「探偵が法律を破る = 依頼人が不利益をこうむる」

 

これが私の持論です。

そこを意識しない探偵は、プロ意識が低いと言わざるを得ません。

 

『探偵は法律を免れない』

依頼人さまの中には、警察や弁護士のように、探偵は特別な権利があって「さまざまな規制から免除される」と思い込んでいる人も居ます。

じっさいは、まったくそんなことありません。

まずこの誤解を解くことが、探偵と依頼人さまとの相互理解に結びつきます。

 

依頼人さまとしては、「お金を払うからには、自分に出来ないことは、なんでもやってもらいたい」……が本音でしょう。

「探偵は、一般人にできないことが可能な、特殊な職業」

……この意識があるからこそ、お金を払うわけです。

 

しかし、法律的に「できること、できないこと」がある以上、その線引きをきちんとしないと、トラブルを招きます。

 

特に多い探偵のトラブル

あくまで私の経験ですが、よく法律的に問題になるのは、以下のシチュエーションです。

 

  1. オートロックマンションに勝手に入る
  2. 門扉が閉ざされた戸建ての壁を乗り越える
  3. 「部外者立ち入り禁止」のエリアに入る
  4. 望遠で窓から個室内を撮影する
  5. 私有地に監視カメラ等隠し機材を設置する

 

トラブルを回避するには

上記の五つは、どれも、まじめに調査していたら自然と探偵が直面するシチュエーションです。

調査員の中には「こういうので、ビビってたら仕事にならん」と苦笑する人間も居るでしょう。

けれど、工夫し、頭を使い、別のやり方を採ることで、法律に抵触する調査を回避できるはず。

 

それは、場合によっては、遠回りでまわりくどい方法だったりします。

面倒で、余計な時間と手間がかかることも多いです。

依頼人さまとっても、まどろっこしく感じるかもしれません。

 

しかし「探偵が法律に抵触する=依頼人の不利益」である以上、短絡的なやり方がベストとは思えません。

探偵に能力の優劣があるとしたら、それは、撮影が上手い尾行が達者、という単純なものだけではなく、

創意工夫とバランス感覚。けっして依頼人さまに迷惑をかけない、リスク管理能力。

……そこにこそ、ウデの見せ所があると思います。

 

『探偵と法律』まとめ

「探偵だからといって、特別な権利はない」

「法に触れる強引な調査は避けるべき」

「依頼人もそれを望むべきではない」

 

……ということです。

 

難しい現場で、法を犯さずとも、必ず、別のいい方法や手法があるはず。

そして、それを依頼人さまにきちんと提示できるのが、現代の名探偵なのです。

 

vision