ドローン厳格化 調査用ドローンはどうなる?
かなり前の記事で、ドローンを使った調査は時期尚早であり、まだ現実的ではない……
という、否定的な見解を私は示しました。
しかし、ドローンそのものを否定しているわけではありません。むしろ逆です。
かつては非現実的だった、「超小型無線カメラによる撮影」や「GPS調査」が実現したように、テクノロジーの進化スピードは、予想もつかないからです。
探偵として、新しい技術にビビってちゃダメよね、という気持ちもあります。
調査用ドローンの課題
探偵用ドローンには、あまりにも多くの、クリアすべき課題があります。
そのひとつの大きな壁が、ドローンを規制する航空法。
という規制法で、主に200グラム以上の機体を対象としたものでした。
その他にも様々な制限があり、とにかくスピードが求められる調査の現場で、円滑に使用するには、まるで向いていなかったわけです。
でも、ドローンが一般に浸透し、マナーやルールが整備され、機体の性能が向上していけば……
少しずつ制限は緩和され、やがて調査現場でも、探偵が操るドローンが監視・追跡・撮影をする日が来るかもしれない。
……そう考え、ドローンの可能性には注目していました。しかし……
ドローンの規制強化
令和2年6月17日、『ドローン所有者登録を義務化される航空法改正案』が参院本会議で可決成立しました。
この法改正を受け、国土交通省は2022年始めまでには登録制度を導入することになりました。
さらに政府は、航空法の規制対象を拡大。対象を100グラム以上にする方針を固めました。
200グラム未満のドローンは通称トイドローンと呼ばれ、規制外でした。
でも、技術の進歩により、小型でも高い飛行性能を持つものが増えたことから、規制が強化されたわけです。
可能性=危険性
ドローンの可能性は、ドローンの悪用の危険性でもあります。
ドローンはそもそも軍事目的で開発されたもの。
索敵・偵察・爆撃と、あらゆる用途に対応し、戦争の形態すら変えてしまったわけですから、慎重になるのも納得です。
しかし、100グラムというのは、さすがに厳しすぎる規制です。
せっかく根付き始めていた民間用ドローンの未来を邪魔したのも否めません。
ドローンが探偵業務に向かない三つの理由
私が、探偵業務にドローンが現実的ではないと判断した理由は三つ。
「撮影機能が充分でない」
「航続時間(電池の持ち)が限られる」
「秘匿性に欠ける」
撮影機能というのはつまりカメラ。
ドローンはそれなりに騒音を発し(秘匿性に欠けるのはそれ)、さらに規制により、人間に接近させられません。
だから、証拠撮影するなら、望遠カメラが絶対条件となります。
私は、ドローンに詳しくないので確かではありませんが、離れた場所からでも証拠撮影ができるドローン望遠カメラは、軍事用以外ではまだないはず。
(もしあるなら教えて下さい)
ズームのきくカメラはそのぶん重く、それ自体にもバッテリーを必要とします。
また、調査の長丁場に使えるだけの航続時間を維持するため、ドローン本体の大容量バッテリーも必須。
加えて、カメラを遠隔操作するための無線装置も要ります。
これらすべてを搭載すれば、かなりの大型・重量になるでしょう。
探偵業務ではまったく使えません。
問題はいつか解決される
『ドローン本体 + カメラ + ドローンのバッテリー + カメラのバッテリー + 無線装置』
……このトータル重量が、
です。が、技術の進歩により、いつかこれらの諸問題も、少しずつ解決していくと思っています。
スマホにしたって、ほんの少し前まで、とうてい実現不能だったのだから。
しかし、今回の規制強化で、ドローンの利用者も開発者も窮屈さを強いられることになれば……
進歩の歩みも重くなるかもしれません。
それでも、規制が強化されるのは、ドローンの潜在的な可能性が、それだけ大きいからとも言えます。
可能性は、危険性の合わせ鏡だからです。
先を見通せる探偵、広い視野を持つ調査業者は、ドローンの調査利用にはどん欲でした。
そこに規制法ができ、すっかり状況は逆風です。
私の周囲でも、すっかり「調査にドローンなんて使えない」という意見が主流です。
ですが、それでも諦めないガジェット探偵の熱意が、いつか『探偵ドローン』の未来を切り開くかもしれません。