自分でやるGPS調査のコツ2

前回は、自分でやるGPS調査で、もっとも気をつけるべき「装着」と「回収」について記しました。

コツと題しながらも、テクニック的なことは記さず、想定される悪いケースばかりをツラツラ書いたわけです。

しかし、それがリアルな現場というもの。そのくらい実際の調査では、難題やトラブルが次々と、嫌がらせのように湧いてくるのです。

「調査」における失敗は、日常生活の他の失敗(財布を落とす。フライパンを焦がす。食器を割る。客先への電話を忘れる。電車を寝過ごすなど)とはまったく異なり、まさに「ワンミス命取り」。

やり直しがきかないシビアなものと考えたほうがいいでしょう。一度GPSがバレた相手の記憶を消すことはできないのです。

それを充分に留意したところで、次は実践編です。

 

GPSを使った福岡県内での追跡シミュレーション

画像は、とある対象者を追跡したルートと思ってください。

対象車両 コンパクトカー

起点 佐賀県鳥栖市桜町『田代駅』駅前

経路 県道17号【園部IC】付近から、県道137号、県道601号、県道56号と経由し、福岡市南区へ

移動距離 約30キロ

終点 福岡市南区柏原

 

概要

佐賀県鳥栖市にある『田代駅』という駅前からGPSにて追跡を開始。

対象車両は『鳥栖プレミアム・アウトレット』近くから、基山の山中に入り、【基山平等寺筑紫野線】を抜けて福岡市の南区まで移動しています。

シチュエーションとしては、対象者である夫(福岡市南区平尾在住)が仕事で久留米に行き、折り返して帰宅するまでをGPSで監視していたところ、なぜかなんの関係もないはずの駅に反応が出た。

誰かを乗せたとしか思えない。

そこで、連続でGPSを稼働し、夫の車の動きを追った……という内容です。

なお、画像の日付を見てもわかる通り、今回事例として挙げているGPSは、少し古い世代のものです。弊所はもとより、同業他社でも今では最新のGPSを使用しています。

ただ、この古いGPSは、レンタルとして出回っている一般的なものと性能的には大差ありません。

この記事のためにわざわざレンタルするのもどうかと思ったので、この古いタイプの検索結果を流用しています。

(ルート画像にはGoogle Mapを、GPSの地図データは昭文社のものを使用しています。画像の勝手な転用等はお控えください。また、この追跡の画像はあくまで事例であり、実際の調査のものではありません)

 

リアルタイムの手動位置検索

GPSの中にはリアルタイムに自動検索してくれるタイプもありますが(プロユースはだいたいそうです)、レンタルで借りると高額になりがちなので、一般的によく使われるタイプを想定します。

この場合、いちいち手動で検索して、結果を見ながら位置を特定・追跡していくことになります。

以下、15:41の追跡開始から16:25の終了まで。六枚の画像(六回の検索)がありますが、実際にはもっと検索の回数は増えます。

 

JR田代駅前。付近の住人くらいしか知らないマイナーな駅で、依頼人も「え?」と身構えます。あきらかに、待ち合わせた誰かを乗せたとしか思えません。検索スタート!

 

 

スマホアプリで『位置検索』を繰り返し実行。毎回地図が表示されますが、福岡市南区在住の依頼人には、そもそもこのあたりに土地勘がなく、ルートがうまく把握できません。『弥生が丘駅』と言われてもぜんぜんピンときません。とりあえず北上しているようです。

 

 

下部の人工衛星マークは、位置検索の精度です。アイコンや表示方法は機種によって違いますが、どのGPS端末にも位置精度レベルがあり、だいたいレベル1~3までの三段階。もっとも精度がいいレベル3でも半径20~50メートルはズレます。これが感度の悪いレベル1になると、平気で半径500メートルはズレますから、はっきりとした位置の特定はまず不可能です。

今回は、道が一本で多少ズレてもルートの想像はつきやすいですが、これが込み入った福岡市中心など都心部だと、このズレが非常に特定を難しくします。

 

 

ここで第一の障害が発生。『検索不可』です。

GPSの弱点として、屋根のある場所や、電波の届きにくい場所では検索ができない状態になります。その間、いくら検索アプリを実行しても『圏外』となり、しかも相手はどんどん移動していきます。

この画像でも、前回の検索から約10分検索ができない状態でした。気づいたら、さっきとぜんぜん違う場所にまで来ています。ていうか、ここ、どこ?

 

 

10分も検索ができない状態が続き、ようやく地図が表示されたと思いきや、またも検索不能になります。

次に検索結果が出たのはなんと20分後。その間、ひたすら『位置確認』ボタンを連打しながら、ヤキモキしていました。

これが実際の調査現場で、車と車で追跡していた場合だと、20分もの検索不能は致命的なロスとなりかねません。

 

 

最後の検索で、対象車両は福岡市南区の柏原にて発見されました。依頼人としては、地図と赤い丸だけ見ても何がなんだかさっぱりです。

 

ルート特待のコツ

GPSに対して一般の方は、スパイ映画のように、光点が点滅しながら地図上を移動して正確なルートがわかる……と思いがちですが、実際はこのように手動でピンポイント検索することが多いです。

その検索結果の点と点を結びつけ、地図上に落とし込み、ある程度イメージで補完して、ようやくこの対象者は、『鳥栖から基山、平等寺の山中を抜け、筑紫野を経由して福岡市に行く道を使った』とわかりました。

このルート自体は、鳥栖方面から下道で福岡に向かう際に、渋滞する筑紫野や大宰府をパスできる、知る人ぞ知る抜け道であり、運転が好きなひとにはおなじみで、特に不審な点はありません。

実際、この対象者も、途中で長時間停車した様子はなく、動き自体はシロでした。

 

この位置検索における難点

これはたまたまシロの動きでしたが、当然、クロである場合も想定されます。

この、鳥栖から平等寺、そして那珂川・福岡へ抜ける山中は、福岡県内でも特に山深く、GPSの急所となっています。

プロユースの高性能GPS端末であってもカバーできない、まさにGPSの不毛地帯。検索不可エリアが続く厄介な場所です。

そんなエリアにも当然ラブホテルはあり、そういう場所を浮気場所として使われると、GPSだけでは追跡不可、調査は失敗になってしまいます。

それから、検索の手間と待ち時間の難点。

JR田代駅にて反応が出てから、連続して途切れることなく検索をしていますが、そのためにはスマホやパソコンにかじりつき、ひたすらモニターせねばなりません。

仕事や育児で忙しいと、なかなかそれも難しいでしょう。

表示された地図を、実際に頭の中でイメージする作業にも慣れが必要です。

一般のひとであれば、生活圏や馴染みのあるエリア以外の地名はなかなかピンときません。

このケースだと、福岡市在住の依頼人にとっては、鳥栖や基山の山のほうなんてよく知らないというのが実情です。そんなところを転々と移動されても、具体的なルートは頭に浮かびません。

それから、最大のリスクである圏外問題。

いきなり位置検索不可になると、慣れないひとは軽いパニック状態に陥ります。肝心なところで追跡ができないモドカシサもさることながら、「GPSが見つかったかも」「どこかで落下した?」「いやいや電池切れかも……」などと悪い想像を膨らませては、強いストレスを感じるハメになるでしょう。

 

まとめ

今回のシミュレーションでは、最初に結論ありきで、『田代駅から基山に向かい、平等寺経由で山の中を通って、福岡市の油山のほうへ抜けた』という答え合わせから先に記しました。

また、それをわかりやすく地図上に落とし込みもしました。

しかし、これらはプロだから当たり前にやれているだけで、一般の方であれば、地図画像の赤丸だけを元に、頭の中で自分で繋ぎ合わせルートを作る必要があります。そしてそれがなかなか慣れないと感覚がつかめません。

もちろん、中にはGPSをつけた車両を定期的に検索していたら、中央区長浜のラブホテルにピンポイントで表示される、イージーなケースだってあるでしょう。

しかし、実際はなかなかうまくいかないものです。

もし、この記事を見て、地図上の位置把握やリアルタイムの手動検索に不安を覚える方が居たら、レンタルの際は多少高くついても、『自動検索モード』や『地図上にルート表示機能』がついた端末を選ぶべきでしょう。

できれば、最初から探偵に依頼するのがいちばんではありますが。

 

尾行・証拠撮影を得意とするもり探偵事務所は、福岡の私立探偵です。GPSには過剰に頼らないスタイルがウリです。