無料相談にも礼儀は必要
私は100パーセント依頼人さまの味方です。
その方針は【もり探偵事務所】という、自分の名前の探偵事務所を福岡で開業したときから、一貫して変わりません。
もちろん、公務員でもなければボランティアでもありませんから、正当な報酬は頂かねばなりません。
でも、報酬に見合った(むしろちょっとオーバークオリティなくらい)仕事は、きっちりやります。
それが、依頼人さまの大事なお金を頂いて依頼を引き受ける、探偵の責任だからです。
しかし、この責任。私だけが負うものではありません。
相談する側にも、最低限の責任や礼儀はあるべきだと私は思います。
どうしてそう思うか。
ときどきへんな相談電話がかかってくるからです。
戸惑う相談電話
電話相談は無料だからか、電話の相手は、私にいろいろなことを相談してきます。
相談者は未来の依頼者でもありますから、適当な応対はしません。
どんな電話であっても、なるべく親身になって受けようとはしますが、ごくまれに、妙なことを言ったり要求してくるひとも居ます。
そういうひとは、けっきょく一円も払おうとしませんから、私が大切にしたい【依頼人】にはなりません。
【ケース1】深夜の相談者。「夫のスマホに妙なアプリが……これはなに?」
ごくたまに、深夜の信じられない時間に電話がかかってくることがあります。
一応、電話受付は『9時~21時』と決まっています。
けれど、緊急の依頼にも対応できるよう、転送電話などで可能な限り電話に出るようにしています。
中には、
「家族が寝てからじゃないと電話できない」
「昼夜逆転のライフスタイル」
「翌日の早朝から調査の必要が生じた」
「いままさに緊急の話が現在進行中」
……という切羽つまった状況の相談者も居ます。
しかし、長年の経験から言うと、『深夜に突然かかってきた電話相談』が、正式な依頼に繋がるケースはほとんどありません。
この日かかってきた電話も、まさにその通りでした。
⚫相談内容
【年配の女性から相談】
・夫のスマホに、不審な『位置情報アプリ』が入っているのを見つけてしまった。これはなに?
「夫は、どうも浮気をしている。それは間違いない。しかし、夫のスマホに入っていた位置検索アプリは、本人の居場所を突き止めるモノではなく、『夫の端末から別のGPSを検索するアプリ』だった」
……という内容ですす。ふつう位置情報アプリは、調べたいと思う対象者の居場所をGPSで検索する仕組みです。
しかし、この相談者の場合はその逆。
浮気しているはずの夫が、なぜか『誰かの位置を調べるアプリ』を入れていたというのです。
見慣れないアプリに逆上した相談者は、「このアプリはなに!」と夫を問い詰めたそうです。
しかし、相手の夫は「そんなもの知らん!」の一点張り。平行線で話になりません。
そこで、『探偵 福岡』か『浮気調査 探偵』かで検索し、ヒットした調査会社・探偵事務所に片っ端から電話をかけまくり、(深夜にも関わらず)まともに繋がった私に相談した、というわけでした。
⚫結果
相談者の女性は、頭に血が上って話がわかりにくく、しかも、その旦那さんが寝たのを見計らって電話しているらしくて、大きな声が出せない、長くも話せないということで、ちっとも話に要領を得ませんでした。
それでも、なんとか要点を拾い上げたところ、私の本来の業務である「調査の相談」ではなさそうでした。
が、とにかくそのアプリがどういうものかを知りたいと。じゃないと眠れないと。
仕方なく私は、その旦那さんのスマホの機種名、キャリア、アプリのアイコンの特徴など、断片的な情報を聞き取り、「今日は寝て、明日また電話してください」と話を終えました。
その後、深夜にも関わらず、あやふやな情報をつなぎ合わせ、そのアプリを特定し、どうやらそのスマホ(機種名を調べ上げるだけでもかなり時間を食いました)に標準搭載されていただけと突き止めました。
翌日は朝から別件の調査で忙しかったのですが、何時にかかってくるかわからないその電話を待たねばならず、かなり束縛されました。
そしてようやく、昨晩の年配女性から電話が来ました。
私は自分の調べた結果……「その位置情報アプリは標準仕様のもので、なんら不審なものではありません」を伝えました。
「ああ、そうなんですね」プチン。
電話は切れました。
スマホに標準で入っているアプリを特定したくらいで、金を取ろうとは思いません。
しかし、他人を頼り、タダで使ったあげく、この反応……私はガクゼンとしました。
探偵は24時間対応の無料カスタマーサービスではありません。
【ケース2】他の探偵に依頼した相談者。「いきなり電話が『現在使われておりません』になりました! どうしたらいいですか?」
⚫相談内容
【おとなしそうな若い男性】
・人探しの相談
探したいという人物が、家族でも恋人でも友人でも知人でもなく、ちょっと「ん?」と違和感がある内容でした。
それでも、30分ほど話し、「行方調査は難しい」とていねいに説明しました。
成功率も3割あればいいほうで、下手したら1割くらいかもしれない。
それを率直に伝えると、「1割ですか!?」と相手は驚いていました。
(本当はもう少し成功率は高いんですが、難しそうな内容だったので、あえて低い数字を提示しました)
福岡の探偵・調査事務所に電話書けまくったみたいですが、どの探偵も「ウチにまかせてくれれば、高確率で見つかりますよ」と都合のいいことばかり話してきたそうです。
私は、
「依頼が欲しい探偵は都合のいいことばかり言う」
「違法な調査はできない」(その相談者は探偵なら色々なデータを自由自在に引き出せると思っていたようでした)
「成功率は高くないが、依頼されたら全力で調査する」
……と正直に言って電話を切りました。
⚫結果
しばらく経って、忘れたころにまた電話が来ました。
「別の探偵に依頼することにしました。元・警察官らしく、クレジットカード情報なんかを照会して居場所を突き止められると言ってました。でも、その事務所がいきなり『おかけになった電話は現在使われておりません……』になったんですよ。どうしたらいいですか?」
……知りませんよ、そんなこと。なんでウチに。しかもフリーダイヤルで。
前回つい親身になって話を聞いた私に、甘えてきたのでしょうか。
でもウチは無料悩み相談室ではありません。
まとめ
探偵は無責任なことはできません。少なくとも私はそう思っています。
でも、適当なことを言って、依頼人がどうなろうと気にしない無責任な探偵も居ます。
正式な依頼人でもない無料相談の相手に、誠実に話をする探偵ばかりではありません。
常識はずれな時間に電話してくる相手、相談内容がウサンくさい相手は、ハナからまともに応じない調査会社もたくさんあります。
(じゃないと、探偵のほうの心身がもちません)
でも、少なくとももり探偵事務所は、たとえ無料相談の段階であっても、相談者に対しては、常に親身な対応を取ろうと心がけています。
だからこそ……
無料相談者のかたにも、それなりの気持ちで居て欲しいと切に願います。