自分でGPSを使うことについて

私は依頼者様が自分で(あるいは友人・知人に頼んで)調査することには否定的です。

「自分の仕事がなくなるから」という下世話な理由からではありません。浮気調査というのは本当に大変で、これを二十年やっている私にとっても、毎回の現場をなんとか片付けているのが現実だからです。

たまにネットで「GPSをレンタルして自分でやってみたら探偵に頼むまでもなかった」という声を見かけたりもしますが、それはたまたますごく簡単な状況だったか、そのひとに探偵的な素養が多少なりともあったからでしょう。

GPSひとつとっても、使い方にはコツや慣れが必要で、誰でもすぐに使いこなせるものでもありません。

そして、これが重要なんですが、ヘタな自分調査で失敗した場合、それをフォローするのはとても大変です。

私にその役割がまわってくることが多く、だからこそ冒頭で言った通り、否定的なのです。

 

失敗をフォローするセカンドオピニオン探偵

個人探偵の私は、宣伝上手な中堅探偵や、広告費をかけている大手調査会社がダメだった場合の、セカンドオピニオン的に依頼されることがままあります。

最初からウチに来てくれたら……そう思いますが、しょうがありません。

そういう依頼は、ハードルはとても上がっているのに、依頼人様は失敗の直後で疑い深くなっているし、予算は目減りしているしで、なかなか厳しいのが正直な話です。

他の探偵が失敗した場合は仕方ありませんが、ご自分でウカツなことをする前に相談してくれたら、とは思います。

とはいえ、いきなり探偵に依頼するのに抵抗があるのはわかります。まずは自分でGPSを使ってやってみたい。それも理解できます。

そこで、せめて致命的な失敗は避けられるよう、「自分でGPSを使った調査を試みたときのコツ」というか、『注意点』をいくつかご紹介したいと思います。

 

もっとも注意すべきは機材の設置

GPSはマグネットや両面テープなどで対象車両に設置します。それは、プロである私たちも、一般の方がレンタルした場合も変わりません。

そして、この設置こそ、もっとも気をつけるべき最重要ポイントであることも変わりません。

事実、何百回も「GPSの設置」を繰り返してきた私自身も、設置の際はやりすぎというくらい慎重になります。

ここでしくじると、単に相手の動きが追えないだけでなく、高価なGPSを紛失・破損してしまうばかりか、相手にGPSがバレてしまうという致命的な失敗になりかねないからです。

 

失敗の各パターン

1)落下

もし付け方がマズくてどこかで落下した場合、その場所でGPSが常に反応を示すことになり、依頼者としては「そんな場所で相手は何をしているんだろう……?」と非常にモヤモヤしてしまうことになりかねません。

ひょっとしたら、ウラを取ろうと、電話やLINEで「いまどこ?」としつこく場所を尋ね、相手の返答によっては「ウソをついてる!」と早合点する可能性さえあります。

2)破損紛失

破損・紛失の際、自分で購入していても、レンタルであっても、2~5万円ほどの損失になります。あまりお金をかけないように、と自分でやってみたのに本末転倒と言えるでしょう。

単にお金の問題だけなら取り返しもつきますが、落下した端末が時には大問題になることもあります。

発覚のキッカケになるばかりか、もし端末を拾ったひとが居た場合、爆発物や犯罪絡みと勘違いし、交番に届けるケースもあるからです。

3)発覚その1

もっとも致命的なのは、付け方や場所が悪くて相手にバレてしまうことです。そして、意外にこのケースは少なくありません。

そもそも、普通に暮らしている一般の方であれば、「何かをバレないようコッソリ仕掛ける」なんて行動に不慣れなのが当たり前です。

マグネットにしろ、両面テープにしろ、車に詳しくなければ、どこに付ければ良いかもなかなか思いつかないでしょう。

GPSレンタル業者によっては、付ける箇所のアドバイスをくれるところもあるようですが、文章だけで指示されたとしてもいきなり上手くはいきません。

(説明書通りに商品を扱えるひとばかりじゃないからこそ、メーカーのカスタマーサービスはいつも激混みなのです)

 

4)発覚その2

それに加え、設置の時間の問題もあります。

例えば夫を調べるとして、車が自宅にあるときはフツウ、夫も在宅ですから、駐車場に行って車でゴソゴソと作業すること自体不自然です。

駐車場で作業しているとき、突然夫が現れるかも……そう考えて焦ってしまい、きちんと装着できず、ザツな設置になってしまう。これもよくある話です。

また、バレかたにも色々なパターンがあります。

「付けた場所が悪くてすぐに見つかるケース」「付け方が甘くて路上に落ちてしまいバレるケース」そして「付けようと作業しているところを見られてバレるケース」

理由はどうあれ、GPSがバレてしまえば、それだけで夫婦喧嘩の火種になるでしょう。付けられたほうは怒り狂い、付けたほうを激しく責めるはずです。

相手の弱みを握るつもりが、逆に自分の弱みを相手に握られることにもなりかねません。

 

付けたはいいけど……続々出てくる不安と面倒

なんとかGPSを設置して、いよいよ相手の動きの把握……といきたいところですが、今度は操作の仕方がなかなか難しいです。

勘のいいひとであれば、すぐに最低限の操作は飲み込めますが、そういうひとはマレで、たいていはマニュアルとにらめっこしながら、おっかなびっくり操作することになります。

位置検索は基本手動です。

相手の動きをしっかり追うためには、断続的に検索操作が必要ですが、仕事や育児などで忙しければ、なかなか数分・数秒単位での連続検索はできません。

GPSによっては、自動定期検索モードのついたものもありますが、それもまた設定が独特で、慣れないと上手くいきません。

設定したつもりが、時間や月日がズレてしまい、まったく検索されていないということは、プロでもたまにやってしまう凡ミスです。

さらにこの連続検索は非常にバッテリーを食います。

一般的に出回っているレンタルGPSであれば、15分おきの連続検索を続ければ、早くて2日、遅くとも4日と持たずに電池が切れてしまいます。

この電池切れが非常に厄介です。

GPSに不慣れな一般人からすれば、いきなり検索不能になると、「バレてしまった!」としか思えず、不安で胃に穴が空きそうなほどのストレスを味わうことになってしまいます。

それらのトラブルを回避しても、一度の位置検索で出てくるのは、地図上の★印だけ。

それも数百メートルの誤差は当たり前です。その地図上の点から、どこに居て何をしているかを判断するには、経験と分析力が必要になります。

 

電池切れと充電・交換、そして回収

以上のようにGPSは、設置するのも大変で、設置したらしたで次から次に面倒の発生する困ったチャンです。

しかし、本当に面倒なのは、(まだあるの? とウンザリした声が聞こえそうですが)回収作業です。

基本的にはGPSは電池式で、持続時間は平均して3日~5日。中には一ヶ月くらい持つモノもありますが、大型で、レンタル費用も高額なので一般向きではありません。

理屈はスマホと同じで、待機時間も電池は消耗し、使えば使うほど減りは早まります。(スマホは待受時間600時間とかですが、使いまくれば一日ももちません)

電池切れにしても、レンタル期日が迫ったとしても、もしくは(運良く)証拠が取れたとしても、最後は回収しなくてはなりません。GPSを自分で使ってみようと思う一般人は、ここまで気がまわらないひとがほとんどです。

ここで注意点がひとつ。

もし、付けた相手が警戒していた場合、(「どうも自分の車の動きが掴まれているように思える」「ヨメの様子がソワソワしておかしい。車で何かゴソゴソしていた」etc……)外そうとしているところを見られたり、あるいはドライブレコーダーに撮られてしまう危険があります。

付けるよりもさらに気をつけなくてはならないのが、この回収作業です。場合によっては第三者に通報されて警察が来たりもするからです。

配偶者である夫や妻の車にGPSを仕掛けても違法ではありませんが、車のところでゴソゴソしている不審な行動を見かけた第三者はそうは思いません。

付けるときと違い、外すときは「あれ? どこに付けたっけ……?」と場所が全然わからなくなり、非常に手間取ることが多々あります。

モタモタしていたら、警察を呼ばれるか、血の気の荒いひとからは取り押さえられたりしかねません。今どきは、写真に撮られて「車上荒らし発見!」などとSNSにアップされる恐れだってあります。

 

自分でやるGPS調査の注意点まとめ

脅かすようなことをたくさん列挙しましたが、ようはこれらすべてに注意すればいいということです。

今回私が紹介するコツは、「ここに列挙した注意点を避けましょう」ということなのですから。

設置や回収の話だけで長くなってしまったので、続きはまた別に記します。次は、位置検索のコツや地図の見方など、『使い方』についてもう少し説明します。

 

尾行・証拠撮影を得意とするもり探偵事務所は、福岡の私立探偵です。よそで失敗した件でも歓迎しますが、出来れば最初にご依頼して頂ければ、と思います。